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多摩区・麻生区 人物風土記

公開日:2012.09.21

桐光学園野球部の監督として甲子園ベスト8に導いた
野呂 雅之さん
大和市在住 51歳

飽くなき向上心を胸に

 ○…甲子園で桐光ナインを初のベスト8に導いた。監督として指導を続け今年で28年目。今夏は選手一人ひとりが互いに力を引き出せる雰囲気がチームにあると感じた。松井裕樹投手の力投をはじめ、選手の奮闘で目標の全国制覇まであと一歩のところまでたどり着いた。今、選手達に伝えたいのは、この経験を財産として次に生かすこと。「あと一歩のところで敗退したからには何か足りないものがあったはず。その課題をそれぞれが見つけてほしい」と振り返る。

 ○…1961年、東京都新宿区生まれ。幼い頃は父と神宮球場へ野球観戦に行くのが楽しみだった。高校野球、六大学野球、プロ野球と観戦し、特に白とエンジのユニフォームを着た強豪の早稲田実業が眩しく映った。憧れの早稲田実業に進学後は野球部で猛練習し、3年でレギュラーの座を勝ち取った。早稲田大学教育学部に進むと、指導者を志すようになった。「野球人としてだけでなく、ひとりの人間として選手を導きたいと思った。社会に出て困らないような人間に育ってくれれば」

 ○…数々の熱戦を制した采配には、全国が注目した。監督として大きな決断を迫られる時、頭の中を整理したい時には、なるべく体を動かすようにしている。水泳やランニングをしながら試合展開をイメージしたり、チームが危機に陥った場合を想定する習慣が今大会でも大いに役立った。

 ○…母校へ戻る新幹線の中ではすでに秋大会のことを考えていた。甲子園での経験がチームを強くしたという周囲からの評価もあるが、試合までの準備期間があまりないことから「気を引き締めて臨まなくては」と慎重な姿勢を崩さない。「3年生が抜けたチームはまさに新チーム。甲子園の結果に慢心することなく、またひとつ一つ積み上げなくては。選手たちには、常に前を向き、自分を成長させられるような向上心を持って挑んでもらいたい」

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