初の商業長編作「湯を沸かすほどの熱い愛」が日本アカデミー賞主要6部門を受賞するなど高い評価を受けた、日本映画学校出身の中野量太監督(45)=登戸在住。最新作「長いお別れ」では中島京子氏の同名小説を原作に、認知症を患い記憶を失っていく父と家族の7年間を描く。中野監督が「新しい認知症映画を撮りたい」という思いを込めた一本だ。
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中野監督には映画を作る上で2本の柱がある。「今撮るべき映画を撮ること」と「苦しい状況の家族をベースにすること」だ。認知症はマイナスなイメージと結びつけやすいが、同作は随所にユーモアがあふれる。「厳しい中でも一生懸命な姿は滑稽だったりする」と語る中野監督。「認知症は苦しくて辛いと思っていても、つい笑っちゃうこともある。そんな知らない部分を教えるのも映画の役割だと思っている」
日本映画学校在学時から、多摩区や麻生区に住む中野監督。今作のロケ地には多摩川沿いや小田急線はるひ野駅も使われた。「原作を読んだときに多摩川沿いの街並みの画が思い浮かんだ」と中野監督。「知っている場所が出てくると思うので多摩区民、麻生区民は必見ですね」とにやり。
中野監督はこれまで、家族や命を描いてきた。「生きることを描くため死を描く。見た後『生きる』という思いになる作品を今後も撮り続けると思う」ときっぱり。根本に映画はエンターテインメントという思いがある。「今回も楽しめる映画になっています」
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