多摩区・麻生区 人物風土記
公開日:2020.02.21
俳優として、一人芝居「看取り」を市内で初めて上演する
水島 涼太さん
東生田在住 68歳
出会い紡ぐ 役者人生
○…5年前、稲城市で87歳の母を看取った。認知症と特養生活、急な入院と「看取り」の決断、最期に贈った歌――。人情ものや時代劇、真面目な刑事役も演じてきたが、今作では「目の前のおふくろ」と一人で向き合う。「この経験をお前なりに仕上げろというのがおふくろからのメッセージだと思う。最後に決断した人、もっとやれたなと思っている人、皆の心の救いになれば」。話しながら、今でも涙ぐむ。
○…池袋に生まれ、幼少期から母に連れられ喜劇を楽しんだ。学芸会では主役、町ののど自慢に出場と目立ちたがり屋。芸能の道を歩み始めたのは70年代のフォークブームの中、バンド「うめまつり」が始まり。78年、脚本家・山田太一さんの作品「上野駅周辺」で主演デビューし、火曜サスペンスのレギュラーや大河ドラマの助演者など、40年演じ続ける。「若いときから助演男優賞を取りたくて。100歳でも現役でいたい」。名脇役の先人の姿から「体力があれば何歳でもやれる」と体づくりに精を出す。
○…一男一女の父。小田急沿線はスタジオが多く、多摩区に住んで10年ほど。「その店の味」が楽しめる自営の飲み屋が好きで、登戸には以前から足を運ぶ。市内は知人が少なかったが、輪が最近広がりつつある。来月の公演も、そんなつながりが後押しに。「共感してもらえたり制作に入ってくれたり。『看取り』はライフワークにしたい」
○…座長を務める劇団未成年では、「交流会公演」として宴会を交え、観客と距離の近い公演を続ける。今秋には出演する映画「信虎」の公開も。「俳優は一人じゃずっとやれない。でも助けてくれる人、『今どうしてる』と声をかけてくれる人がいる。出会いでつながっていく」。縁が導く、舞台に立つ。
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