川崎市内にある小学校の通学路で、危険なブロック塀の撤去が滞っている。2018年に大阪府北部地震で発生した倒壊による死亡事故を受け、市が点検・把握した危険箇所72件のうち、約2年間で改善されたのは19件。改善指導を進めようと、市は3月末に終了予定だった工事費の助成を継続させたい考えだ。
事故を踏まえ、市は撤去費用の助成金制度を開始。安全性の確認できない1・2メートルを超えるブロック塀などを対象に、撤去費用の半額を上限30万円で補助している。通学路以外でも道路や公園に面していれば対象で、今年1月末までの利用は195件(申請受付のみ含む)。市が時限的措置として見込んでいた累計800件に対し、4分の1にとどまった。市は制度継続について、3月の市議会に議案を提出する予定だ。
利用が進まない一因に、市は周知不足をあげる。担当者は「回覧板よりも戸別訪問の方が話を聞いてもらえる。今後も足を使って周知を図りたい」と話す。同制度は撤去工事のみが対象で、新しく塀を建てる場合は生け垣に変更する以外、全て自己負担。市内で不動産賃貸業を営む男性は「生け垣にしても剪定等で費用がかかる。撤去後のことが考えられていないのでは」と指摘する。
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