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多摩区・麻生区 人物風土記

公開日:2021.10.15

書家で、元号「令和」発表時に墨書を揮毫(きごう)した
茂住 菁邨(せいそん)さん(本名:茂住 修身)
南生田在住 65歳

志貫き、探求つづく

 ○…内閣府の辞令専門官として「令和」の墨書を揮毫してから2年半。「大半の方があの字を受け入れてくれて、新しい時代への期待を感じたんだと思う。言葉では言えない書の持つ力を再認識した」。そこで見出した使命は、書のすばらしさを伝えていくこと。今春退官し、来年にはパリや東京、地元・岐阜県での個展を控える。「初期の作品から、今までの足跡を見てもらえたら」

 ○…書家人生の始まりは20歳。短大卒で大東文化大経済学部に進むと、書道の名門であることを知った。文学部に交ざって書道部に入るも、周りは受賞歴のある学生ばかり。「みっともないよりも負けたくないという気持ち」と、授業そっちのけで没頭した。部員370人の長に就くまでとなり、師の推薦で定員2人の専門職に。以来40年にわたり、数々の辞令書や国民栄誉賞等の表彰状を手掛けた。「令和」揮毫は再任用後。「書との出会い、推薦、令和――。好きなことを、一生懸命全うすれば道が開ける」

 ○…多摩区に住んで30年。生田の官舎で10年過ごした後、南生田に居を構えた。生田では五反田神社、ここ20年は長沢諏訪社を参拝。社殿の扉が開く毎月1日と15日、新元号揮毫の朝も足を運んだ。大きな作品に臨む際は、諏訪社の社務所を借りることも。今年、多摩区主催の企画では題字を手掛け、「ちょっとでもお手伝いできればという気持ち」と地域を思う。

 ○…「父は中学教員、兄妹も優秀。自分は大学まで何もやりたいことが見えなかった」と少年期を思い返す。今では地元の飛騨市に多くの作品を残し、母校に出向くと経験を伝え、生徒の悩みに寄り添う。「好きなことを見つけて」と教えてきた3人の息子も、獣医や音楽の道を歩む。重ねた日々を、右手に込める。

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