夏休みが明けた9月、学校に行けない子どもたちが増えると言われる。高校2年生のときに、学校に通いづらくなり、思い悩んだという栁澤真理さん(44)は、自身の体験を生かし、現在は菅馬場で、毎月1回実施する10代を中心とした居場所「つながるカフェ」の運営に奔走している。そんな栁澤さんに、悩んでいる10代に向け、今、最も伝えたいことを聞いた。
県内の進学校に通っていた栁澤さんが学校を欠席しがちになったのは、高校2年生のとき。最初の理由は、勉強についていけなくなったことだった。それに加え、人に気を使うタイプだったこともあり友人との人間関係にも思い悩んでいた。
「消えてしまいたい」。そう思うようになってしまった栁澤さん。心配した母親が精神科へ連れていき、薬を服用するようになった。
朝から夜まで気分が落ち込み、無気力な状態が続いた。学校を欠席した日に、フリースクールに何度か相談のために足を運んだ。そこで同じ境遇の高校2年生とつながった。会うことはなかったが、電話で互いを励まし合い、悩みを共有した。「今の状態を変えたい」。そんな思いから、書店に足を運び、読んだのが『小さいことにくよくよするな!』(サンマーク文庫)だった。「世界が狭く、自分の悩みがいかにちっぽけなものか思わせてくれた本」と当時を振り返った。
徐々に元気を取り戻し、無事に高校を卒業した。30代に入り「いつか心の悩みを持つ10代の相談に乗れる大人になりたい」という思いが湧き、通信制の大学で心理学を3年間、学んできた。
今を悩む10代へのメッセージを聞くと「悩みはずっとは続かない。今いる場所がすべてではなく、世界はもっともっと、自分が思っているよりも広い。さまざまな人がいるので、多様な場に足を運んでほしい」と思いを語った。
「つながるカフェ」は地域の子育てを支援するために、さまざまな活動を行う任意団体「あゆみYELL」(大庭美代子代表)の新しい取り組みとして、今年3月からスタート。菅馬場にある「はぐるま共同作業所」(みらぼ)の一室を借りて、主に第3土曜日の午後、10代を中心とした居場所づくりをしている。菓子を用意して、タロットやヨガなどのプチイベントも。大学生ボランティアも加わり場を作っている。「ただ、『ぼ〜』とするだけでもいい。勉強できる空間もある。何をしてもいい場所。そんな中で悩みを話したければ、相談もできる場所」とリーダーを務める栁澤さんは言う。「家でも学校でもない第3の居場所で相談することができれば、思い悩むこともなかったのではないか」という栁澤さんの経験も参考にしている。うつ病や自殺といったより深刻な状況に陥ることを防ぐには「誰かが早めに気が付くことが大切」と栁澤さん。だが、10代の参加は少ないのが現状。「いかに来てもらうか」と広報に力を注ぐ。
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