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中原区 人物風土記

公開日:2012.11.30

2012年の「畳ドクター匠の技全国選手権」で先月、最優秀賞を受賞した
野上 隆明さん
下小田中在住 61歳

誠実に思いやりを持って



 ○…全国畳産業振興会が認定する、知識が豊富で畳替えのアドバイスができる畳職人「畳ドクター」。その中でも斬新な施工アイデアや取り組み等を行う優秀な職人を表彰する「畳ドクター匠の技全国選手権」で、約1500人の中から唯一の最優秀賞に輝いた。審査は顧客からのアンケートで実施。地震を見据えた畳部屋への震災グッズ取り付けや、親しみやすいハート型畳を幼稚園に進めるなどした新市場開拓に向けての活動が評価された。「周りからの反響が大きくて驚いた。お客様から頂いた賞でもあるので嬉しかったし、より一層頑張らなくては」



 ○…中原区で生まれ育った。父親が畳屋を営んでおり、「長男の自分が継ぐことが当たり前」と18歳から畳業に従事。休みが少なく深夜から働くことも多かったが、「辛かったけど、自分しかという責任があった」と辛抱強く乗り越えた。7年ほど前からは、業界の発展を目的に関東の仲間10人ほどで勉強会を開催。「どうしたらお客様に喜んでもらえるか。それを考えることが自分たちの発展につながる」。向上心は尽きない。



 ○…連れ添って25年ほどになる奥さんと二人三脚で店を営む。たまの休みには旅行やフィギュアスケート観戦に行くおしどり夫婦だ。「かなり助かっているし、感謝している。愛していますよ」。照れながらも満面の笑みで話す。今年高校を卒業した三男は、三代目を目指し京都の専門学校で修業中。「継いでくれる意思が嬉しい。一緒にやるのが楽しみだなぁ」



 ○…フローリングが主流となり畳業界としては厳しい状況というが、「日本の風土に合っているし、まだまだ畳が好きな人は多い。柔らかくクッション性もあるので、年配の人の転倒対策にもなる」。その魅力を伝えるための努力も惜しまない。大切にしているのは、「誠実に思いやりを持って、お客様に接すること」。柔らかい表情と丁寧な話し方が印象的な職人だ。

 

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