中原区生まれ。中学1年の時に、畑山隆則×坂本博之の世界戦を見て「すげぇ打ち合いだ」と衝撃を受けた。高校卒業後、好奇心が頂点に達し、近所のジムに入門。しかし、あまりの激しい練習についていけず、10カ月で逃げ出した。「若かったなぁ」と苦笑いで振り返る。3年後、友人の紹介もあり「もう一度だけ挑戦してみよう」と北澤ボクシングジム(新丸子)に入門。1年掛けプロテストに合格し、25歳の時に新人王を獲得した。「周りからチヤホヤされ調子に乗っていた」
将来を期待され、4年前に花形ジムに移籍するも、勝っては負けてを繰り返す苦悩の日々が続いた。昨年、初の日本タイトルマッチに挑んだが敗退。今年2月の再起戦でも負けを喫した。「心が折れた。もう限界だ」と会長に引退の意思を伝えた矢先、今回の試合の話が舞い込み、戸惑いながら現役続行を決意。
ボクシングを始めて12年。「これがラストチャンス」と人生を賭けて挑んだ戦いに打ち勝ち、初めてチャンピオンベルトを腰に巻いた。「怖かったけど、最初から打ち合うことは決めていた」。試合の1週間前から覚悟を決め、23戦9敗の苦労人は、ようやく王座にたどり着いた。試合後、目に涙を浮かべながら「こんな負けてばかりの僕でもチャンピオンになれることを証明できた。今までの人生の中で一番幸せ」と喜びを爆発させた。
普段は金属加工会社で働きながら、週6回ジムで汗を流す。練習がオフの日曜に、3人の子どもと遊ぶのが息抜きだ。試合前には62・3kgの体重を52・1kgまで落とす減量が待つ。そんな時、心の支えになっているのが妻の美穂さん。「感謝してもしきれない。守るものがある限り、簡単にはベルトは渡さない」。世界を見据え、まい進する。
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