中原区内では、全体の事故のうち自転車事故の占める割合「自転車交通事故構成率」が39・４％（10月末日現在）あり、県内でも高い水準にある。本紙では中原警察署の則次誠二郎署長、（一財）中原交通協会の朝山秀男会長、中原安全運転管理者会の山口敦男会長に、交通安全の取り組みなど話を聞いた。（進行／本紙・佐々木貴広）
――区内の交通事故は、今年10月末の時点で２７７件発生、自転車関係事故は１０９件発生しており、自転車に関する事故の割合が依然として高い。この状況をどの様に受け止めていますか？
則次…昨年、麻生区で発生した、いわゆる「ながらスマホ」による交通死亡事故の判決では、事故を起こした女子大生に有罪の判決が下されました。この事故で女子大生は、左耳にイヤホンをして音楽を聞き、右手に飲み物、左手でスマホを操作しながら運転すると言う非常に危険な行為をしており、取り返しのつかないことになってしまいました。こうした「ながらスマホ」に代表されるような、利用者自身の危険行為による自転車事故が多く見られます。
朝山…自転車は若い方から年配の方まで利用できる便利な乗り物ですが、一方で危険な凶器に変わるものでもあります。にもかかわらず、譲り合いの精神が少なく、自分のルールで運転している方が増えているように思われます。私も道路を利用していて、危険を感じることも多いです。
山口…自転車事故のニュースを聞くたびにルールを守らないと重大なことになるんですよ、迷惑をかけているんですという認識を持って頂くために私たち３者が努力をしていかなくてはならない。事故が起こるたびに法律の適用が厳しくなり、自転車事故の保険加入も義務化の方向へ動き出している。私たちが地道に啓蒙することで、マナーを守ってくださる市民が増えていくと思います。
――日頃の活動を通じて思うことはありますか？
則次…外郭団体の皆様の協力のおかげで、様々な啓発活動を行っている地域だなと感じています。ルール違反に関しては、軽微なものは指導して警告しておりますが、それでも飲酒運転や信号無視など悪質な運転の場合は取り締まりも辞さないということを考えています。区内は平坦であり、自転車利用者が多く、通学時間帯などは非常に危険を感じています。
朝山…これまで各団体の啓発活動のおかげで、少しずつマナーは良くなっている。私たちも簡単なパンフレットを配り、口頭で注意するなど地道な活動をしてきました。自転車も自動車も同じ車、『自転車利用者も道路交通に関わっているんですよ』ということが身にしみるように地道な啓発が必要です。
山口…自転車は左側通行という決まりがありますが、車のように厳密に取り締まることは、現状できていない。ある程度の時間を決めて交通区分に関しては徹底的な指導をすることも必要だと思います。歩行者は右側、自転車は左側ということが定着すれば歩行者は自転車と対面することになり、歩行者の事故が減ると思います。
――年末年始に向けて一言お願いします。
則次…この時季は暗くなる時間が早く、午後４時から７時頃は暗くなる中で交通量が増えるので事故が多発します。12月は飲酒運転根絶強化期間であり、これを強力に取締まるとともに年末の事故防止運動は20日まで行っているので、事故根絶につなげたいと思います。
朝山…事故を起こそうと思っている方は誰もいない。ルールを守って運転していれば事故は起きないということを精一杯呼びかけていくことが私たちにとっての努力。事故の無い、年末年始にしていきましょう。
山口…私たちは企業を通じて事故防止を訴えていきたい。今後も警察、各団体と連携を図り、交通事故の根絶に寄与したいと思います。
――ありがとうございました。
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