市政報告 持ち去られる資源物、その金額は5年間で推計約2億3740万円 川崎市議会議員 松原しげふみ
市民の皆様にはごみの減量、資源物の適正処理にご理解をいただいており感謝いたします。しかし残念ですが、本市ではアルミ缶の持ち去り行為が後を絶ちません。過去5年間の持ち去り量の推移を調査した所、平成25年度は約267トン・約1100万円、26年度は約318トン・約2500万円、27年度は約379トン・約1790万円、28年度は約344トン・約1050万円、29年度は約246トン・約2790万円、合計1554トン・9230万円と推計されました。金額については経費を勘案した金額でない為、改めて経費を加えると、驚くことなかれ5年間の持ち出し金額は約2億3740万円と推計され、年平均で約4748万円の資源物が持ち去られている事になります。本市ではアルミ缶とスチール缶を併せて収集しておりますが、平成28年度は6270トン・約2億2800万円、29年度は6845トン・約2億9800万円、30年度は6750トン・約2億9400万円であり、市の売り払い収入となっています。
さて、ここで問題となるのは、集積所に排出された資源物の所有権であります。過去の判例では、収集する行政側にある場合や排出する市民にある場合、また無主物とされる場合等、状況により様々な考え方が示されています。私はこの問題について昨年の12月議会定例会一般質問で環境局長に問うた所、本市の考えは「市が収集するまでの間は排出者である市民にあり、収集した後は市に所有権が帰属する」との答弁でありました。持ち去りは、所有権が未確定な間隙を縫って行われていることになります。
それでは誰が持ち去るのか?本市に於ける持ち去り行為は主にホームレスによるものが多く散見されており、その背景には景気の低迷や終身雇用制度の見直しなどの社会経済環境の変化があります。本市ではこれまで、持ち去り行為に対して法的な規制を行う事はホームレスの方々の生活に大きな影響を与える可能性があり慎重な対応に努めてきておりますが、市民の皆様からは空き缶をつぶす音やごみの散乱など生活環境の保全上支障が生じる恐れなどの苦情が寄せられております。ここ数年は年間約30件程度の苦情があります。また神奈川県道路交通法施行細則では、現状の持ち去り状況を見ると、特に自転車における安全性については交通安全の観点から交通管理者との連携について検討する余地があり、行政としてもその認識を持っています。私はこの持ち去り問題について平成24年以後取り組んでおりますが、いずれにいたしましてもホームレスの自立支援をすすめる中、持ち去りが無くならない以上、ごみの減量と資源の有効利用に向け、条例化を含め有効な対策の検討が求められます。
参考までに、全20政令市のうち15市で条例が制定されており、15市の中で8市は罰金20万円以下、4市は過料5万円以下、3市は罰金等無し。条例の目的に、資源物の適正処理・市民のごみ減量意識の低下防止が記されています。本市含む5市には持ち去り禁止条例は制定されていません。
松原しげふみ事務所
中原区新城5-2-3
TEL:044-751-8855
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4月26日
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