川崎市 下水道事業会計補正予算 市政レポートVol.10 短期的台風対策に4億3千万円を計上 川崎市議会議員 吉沢 直美
◆市議会 定例会報告
令和2年第1回定例会が3月19日に閉会しました。今定例会は予算審査特別委員会があり、来年度の予算について議論が行われました。台風19号の甚大な被害を受けた本市ですが、浸水被害の短期的な対策事業費が、補正予算や来年度予算に計上されました。
私が所属する環境委員会所管の下水道事業会計補正予算では、短期的対策事業費として、排水ポンプ車4台購入2億2000万円、排水樋管ゲート電動化に向けた機械工事1億4000万円、その他の地震及び浸水対策に係る事業として7000万円、合計4億3000万円の建設改良費の補正が行われました。
◆排水ポンプ車4台 購入
本市は排水ポンプ車を既に1台所有していますが、新たに4台の購入を予定し、計5台となります。この排水ポンプ車は、1分間当たり30立方メートルの排水が可能で、発電機によりポンプを作動させ、専用のホースを使って内水を排除します。
人員配置は、1台当たり4名に加え、排水ポンプ車の配置に当たっては交通整理のための人員も別途必要になります。配置場所を含めた運用マニュアルの整備や各連携の検討を今後進めてまいります。
◆排水樋管ゲート 電動化
モーター付きのゲートへ改良します。排水樋管ゲートの電動化により、状況に応じたよりきめ細やかなゲート操作が可能となります。
電動式ゲートは、一定の高さまで自重により閉鎖し、最後の押し込み段階において電動で閉鎖する仕組みです。手動で操作する場合に比べ、一定程度の時間を短縮し、より強い力で閉鎖することが出来ます。異物が混入しゲートに噛み込まれた場合には、電動でゲートを上下に操作して取除きます。また、異物の混入を防止する為に排水路の上部にネットを設置します。そして操作盤は、排水樋管ゲートの点検歩廊の上部に設置する予定で、将来的には遠隔操作が導入されます。
これらは6月末をめどに対策を進め、水位計、監視カメラなどの観測機器、遠隔操作の導入等についても出来るだけ早い時期に対応して参ります。
◆台風第19号 検証委員会
3月13日に第3回が開催されました。市民へ意見募集が行われた後、結果が取り纏められ、4月に本市から検証結果の公表が行われます。
シミュレーションの結果、山王排水樋管箇所とその他の排水樋管箇所においては、浸水状況の傾向が異なることが分かりました。今回の降雨の場合、山王ではゲート閉鎖をすると下流にポンプ場を有していることから浸水規模が減少し、その他ではゲートを閉鎖した場合、雨水が滞留し浸水が発生することが確認されました。
また、浸水シミュレーションにより短期対策の効果も検証されました。
台風第19号の際と同じ降雨、河川水位を条件とし、新たな操作手順に基づきゲートを閉鎖し、排水ポンプ車1台を稼働させた場合、浸水削減率は、山王98%、宮内49%となりました。
山王では効果の数値が高いですが、宮内では半分程度です。対策はまだまだ完全ではなく、中・長期の対策を出来る限り早く行って行かなければなりません。
下水道管理だけでは限界があり、多摩川の水位を如何に上げないかの抜本的な対策が必要です。そのため、国に対しても協力要請をし、他自治体とも連携を図り、総合的な視点で取り組みを進めていきたいと思います。
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3月15日