業務中に訪問先で高齢者の異変を察知し、人命救助につなげたとして、3月27日、福田紀彦川崎市長は東京新聞武蔵小杉専売所(下小田中)の野中弘美所長(62)に感謝状を贈呈した。
野中さんは昨年8月、配達先の独り暮らしの高齢者宅で新聞が3日以上溜まっていることに異変を感じ、中原区役所へ連絡。区職員と地域包括支援センターの職員が駆け付け、熱中症の疑いのある高齢者を保護。その後、医療機関で一命をとりとめた。福田市長は「微細な変化に気づいていただき人命救助につながった。独居老人が増えると思うので、皆さんの取り組みが安心感につながる」と称えた。
地域見守りは「使命」
野中さんが下小田中に販売所を構えたのは12年前。地域に愛される販売所になるために「笑顔」と「挨拶」を心掛けた。8年前には、川崎市が民間事業者と締結する地域見守りネットワーク事業に加盟。新聞配達の業務と並行して、地域の見守り活動を始めた。
転換点となったのは5年前。新聞配達中、朝3時にも関わらず配達先の家の扉が全開で、奥に倒れている高齢者の姿が見えた。すぐに警察に通報。後に死亡を聞かされた。野中さんは「訪問時によくお話していた方。ショックだった」と悲しみをにじませる。以降、地域の見守り活動は自身の「使命」だと、一層力を入れるようになった。
同販売所のスタッフは野中さん含め9人。「高齢者への声かけ」と「異変の共有」は全員の共通意識だ。月一の集金時や契約更新時にはコミュニケーションの時間を設け、「暑いときはクーラーをつけて」「最近、振り込め詐欺が起こってるよ」「風が強いときは自転車は押して歩いて」と会話の中で注意を促す。また、市内の東京新聞販売店40店舗の月一の定例会でも各地域の事例を共有。「地域があっての新聞配達。各自がアンテナを張り、異変にはすぐに対応する」。販売員が一丸となって、地域の安全を見守っている。
「地域を任されていることに感謝さえ感じる」と野中さん。「これからも使命を全うしていきたい」と力強く話した。
なお、麻生区、川崎区、宮前区の事業者にも人命救助に貢献したとして感謝状が贈られた。
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