今井中学校(平野耕一校長)の今井中フェスタが11月21日に行われ、ボクシング元東洋太平洋ライト級王者の坂本博之氏(49)による講演会が開かれた。同校キャリア在り方生き方教育の一環。
坂本氏は「平成のKOキング」と呼ばれ、39勝(29KO)7敗1分の成績でファンを魅了した傍ら、児童養護施設で育った過酷な生い立ちが注目を集めた。今回の講演では「僕は運命を信じない」をテーマに、坂本氏の人生観が語られた。
負けて感じた「愛」
出生してすぐに両親が離婚し、地元福岡県の施設に預けられた坂本氏。小3の頃、テレビでボクシングを目にし、「光眩しいリングの上に立ちたい」と夢を抱いた。生活環境や経済的に恵まれない中、書店で立ち読みしボクシング技術を習得。起床時刻前のランニングも毎日欠かさなかった。
19歳で上京しジムに入門、デビュー戦はKO勝利。「観客の拍手が自分を褒めてくれたようで嬉しかった」。勝利を重ねる度に、全国の施設で暮らす子どもから手紙が届き交流が広がった。「子どもたちのためにも勝ち続けないと。負けたら昔のつらい日々に再び戻ってしまう気がした」。20戦目で初の敗北。失意に暮れる中、子どもから届いた言葉は「つらいときこそ前に出ろ」。坂本氏が子どもを励まそうと贈り続けた言葉だった。
「運命は変えられる」
講演で坂本氏が伝えたのは人の愛。悩みを抱えがちな学生に寄り添い、「君を傷つけたのは人かもしれない。でも受け止めてくれるのも人なんだ。頑張っている人は周りが見ている。応援してくれる」と力を込めた。
夢を持つ大切さも説いた坂本氏は「行動すれば運命は変えられる。明日ではなく今から。一歩でも半歩でも『一瞬懸命』で前へ」と呼び掛けた。
講演を聞き伯東偉(とうい)さん(2年)は「情熱的な講演だった。積極的に挑戦する大切さを学んだ」と感想を話した。今も全国の施設を巡る坂本氏に感銘したという平野校長は「生徒の胸に響いたと思う。混沌とした時代だけに、坂本さんの信念や哲学を学んで」と語った。
今井中地域活性テーマに工夫
長年、学校とPTAが共催し、地域の老若男女を招いて実施してきた今井中フェスタ。コロナ下の今年、参加は生徒と保護者に限定したものの、「みんなで地域を応援しよう」をテーマに工夫を凝らした内容となった
地元商店の活性化につなげるため、PTAがサライ通り商店街や法政通り商店街、綱島街道沿いの飲食店に出店を声掛け。当日、10店舗ほどが校内で昼食や菓子を販売し、生徒らは友人同士で相談しながら選んでいた。午後は文化祭の代替として、吹奏楽部や3年生の有志で成る合唱、特別支援学級の演劇などを披露。PTAによる制服リサイクルや、PTAのOB主催の卓球ゲームなども行われた。生徒の一人は「今年は合唱コンクールが中止になり寂しかったが、3年生の歌声を聞く機会ができてうれしい」と目を輝かせた。
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