市政報告 インクルーシブ公園の整備に向けて 川崎市議会議員 松原しげふみ
市民に開かれた街の中にある公園は、幼児から高齢者まで多くの人々の憩いの場であり子ども達の遊び場であります。四季折々を感じながらたくさんの笑顔を見る事ができる公共の施設です。しかし、市民に開かれているとはいえ、誰もが皆楽しく遊べる公園とは言い切れません。「誰も」とは世代や国籍、物の価値感や身体面、特に障がいのある方やその保護者も含めるべきです。川崎市にはその視点が欠けています。障がいのある子もない子も皆が一緒に遊べ、誰も排除しない公園である事を願っています。公園や施設は在れば良いのではなく、新しい価値を生む公園づくりが求められています。様々な違いを乗り越え障がいの有無を問わず遊ぶ事は子どもにとって大きな成長の場になり、保護者にとっても互いの違いを理解する事にもつながるはずです。「誰一人取り残さない」を掲げるSDGsの目標にも係わってきます。
前置きが長くなりましたが、障がいの有無に関係なく子ども達が遊ぶ事ができるよう設計された公園を「インクルーシブ公園」と呼んでいます。「インクルーシブ」とは誰も排除しない社会を目指す考えであり、公園を成長の場と位置付けています。では現在、本市にインクルーシブ的な公園は有るのでしょうか?答えは「有る」ことになっています。この言い回しには理由があります。本年3月の市議会予算審査特別委員会に於ける質疑の中で、建設緑政局長は「本市の取り組みとして、平成9年度に橘公園(高津区)に大型遊具を設置し、遊具の一部が車いすでも利用できる施設となっております」と答弁しています。現物を確かめるため私は橘公園へ赴き、それらしき大型遊具を確認しました。「えっ、これが」との感が強く、建設緑政局長の答弁には無理があるのではないかとも思いました。読者の皆様も実際に公園の遊具を確認されたらどう感じられるのかが気になるところです。
ともあれ、私は6月21日の市議会定例会の一般質問で建設緑政局長に、「橘公園内に遊具が設置された目的、及び車いすでも利用できる事の広報、車いす利用者の遊具活用状況」について質問致しました。局長の答弁は「橘公園については老朽化した遊具の更新時に複合遊具の導入を検討していた際、車いすでも利用可能な製品が開発された事から平成9年度に設置しました。車いすでの利用が可能である事の周知や、当該遊具の利用実態の把握については行っておりません」と答えられました。橘公園での取り組みが今後、本市のインクルーシブ公園のモデルケースになる可能性が残されているだけに、局長には改めて検証いただく事を要望致しました。
さて「インクルーシブ公園」の設置状況について調べると、2020年3月に国内初のインクルーシブ公園として世田谷区の都立砧公園に、9月には豊島区にも誕生しました。どちらの公園も親子で楽しめる多様性のある遊具が整備され、自由かつ安全に遊べる公園になっております。他にも、府中の森、渋谷区・品川区でも取り組みが進んでおります。神奈川県内に於いても藤沢市で「共生社会の実現をめざす誰一人取り残されないまちづくり」としてインクルーシブ藤沢を目指しており、その一環として秋葉台公園の広場にある遊具を改修し「誰もが遊べ誰もが楽しめる広場」の整備が完了、供用されております。さらに平塚市に於いてもインクルーシブ遊具の設置に向け着工を目指しております。
本市では現在、等々力緑地に於いて「等々力緑地再編整備実施計画改定骨子案」が策定されており、これに付随してインクルーシブ公園の視点に則った計画が練られています。インクルーシブ公園が特別な公園でなく、誰もが当たり前に遊び楽しめる公園の実現に向け取り組んでまいります。
松原しげふみ事務所
中原区新城5-2-3
TEL:044-751-8855
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4月26日
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