5月に開催される川崎郷土・市民劇「おーい!煙突男よ ―天空百三十尺の風―」。現在の川崎競馬場の場所にあった富士瓦斯紡績川崎工場で約90年前に起きた「川崎煙突男事件」がモチーフになっている。
戦時中、数千人の女工(女性労働者)が働いていた同工場。世界恐慌の波が日本にも押し寄せた1930(昭和5)年、女工らは賃金引き下げや解雇に反対する労働争議を起こした。青年・田辺潔は、高さ約40メートルの工場の煙突に座り込んで女工らを後押しするように抗議。新聞でも報道され、約1万人の見物客が訪れたという。
今回の市民劇の台本を手掛けたのは京浜協同劇団(幸区)の和田庸子さん。15年前に同劇団で上演した作品を市民劇向けにリメイクした。「女工たちを応援した煙突男。そこに集まった1万人の川崎市民。この共感力こそが時代を前に進めていく。現代の市民の皆さんも励まされるはず」と和田さん。
実行委員長を務める藤嶋とみ子さん(中丸子在住)は、「川崎の産業の礎を築いた女工の皆さんと、彼女たちを応援しようと煙突に登った青年の意志は尊い。自分だけでなく世の中のことを思った煙突男の行動を、不安定な今の時代だからこそ感じ取ってほしい」と話している。
5月7日(土)と8日(日)の午後2時からは多摩市民館(多摩区)、14日(土)1時30分からと6時から、15日(日)の2時からはサンピアンかわさき(川崎区)で開催。
チケットは指定席3600円ほか。購入はウェブ予約または、京浜協同劇団、東海道かわさき宿交流館(川崎区)など市内施設で取り扱い。詳細・問い合わせは川崎市文化財団【電話】044・543・5012。
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