中原区 社会
公開日:2023.08.11
中原区・夏休みレポ
どうする?井田山の担い手
夏休みに入り、中原区市民健康の森(通称・井田山)では、カブトムシやクワガタなどの昆虫を探しに、虫かごを手にした親子連れが連日訪れている。さまざまな種類のチョウも飛び交い、国内に生息する約260種のうち45種が、この井田山でこれまでに確認されているという。
都会化が進む中原区の里山を守ろうと、2001年から保全活動を続けている「中原区市民健康の森を育てる会」。現在会長を務める高久孝雄さん(80)は、日本チョウ類保全協会の会員で、チョウの保護にも取り組む。アオスジアゲハはクスノキ、ツマグロヒョウモンはスミレなど、チョウは種類により幼虫が食べる植物を見分けて卵を産むため、一見雑草に見えてもチョウにとっては生命の源。近年、井田山のチョウの数は減少傾向で「かつての10分の1ほど」といい、会の役員らはこうした管理にも気を配る。
しかし課題は高齢化だ。主に活動する6人の役員全員が80歳以上。川崎市から管理運営を任され作業にあたるが、約1万平方メートルもの広大な敷地を賄うのは容易でない。以前は協力者も多かったというが、定年後も働き続ける人が増えた現代、担い手不足が顕著になっている。管轄する区道路公園センターの担当者は「高齢化は全国的な課題で、市内でも維持管理の仕組みが形骸化されているのが現状。存続させていくため対策を協議する」としている。いつまでも親子が集う井田山であり続けるために、市民の知恵が求められている。
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