地元・南加瀬に構えた工房で30年間ステンドグラス制作を続ける 小林 まゆみさん 幸区南加瀬在住 60歳
思い立ったら一直線
○…ガラス自体の美しさ、ガラスを通った光の美しさ、その光に彩られた部屋の美しさ――。「ステンドグラスは3度おいしい」と魅力を語る。職人として南加瀬に工房を構えて30年。病院のエントランスなど、主に建築物のステンドグラス制作を手掛けている。一方で「手軽に楽しめるものを作りたい」との思いも。07年には価格、サイズともに手頃な足元灯「つつじランプ」を制作。川崎名産品、全国土産物審査会推奨品にも選ばれている。
○…27歳の頃、雑誌で偶然見つけたフランス・シャルトル大聖堂のステンドグラスの写真に心奪われた。「こんな美しいものを作ってみたい」とステンドグラスの本場・ヨーロッパへ。言葉は話せなかったが「工房の門を叩いて、リュックからガラスカッターを出してアピールして…」。向こう見ずな熱意が言葉の壁を越え、どの職人からも温かく迎えられた。居候を繰り返しながら約1年かけてイギリス、イタリア、フランス、ドイツを渡り歩き、6件の工房で技術を学んだ。
○…息抜きは音楽鑑賞。音楽との出会いは中学生時代で、当時全盛期だったビートルズに熱中したのだとか。夢中になったら止まらない性格はその頃からで、レコードを擦り切れるほど聞き、武道館公演にも足を運んだ。今はアフリカの打楽器「ジャンベ」やタップダンスが趣味。リズムから制作のインスピレーションを得ている。
○…還暦を迎えたことをきっかけに、生まれ育った川崎の街に何か貢献できないか、改めて考え始めたという。「子ども達が胸を張って『川崎出身』と言える街づくりにステンドグラスを通じて貢献したい」。そんな思いから、JR南武線の車両や戦国時代の武将・太田道灌の兜(かぶと)等、地元にまつわる作品の制作や、子ども対象のステンドグラス教室開催に力を注いでいる。「夢は大きく『ガラスの街・川崎』です」といたずらっぽく笑っていた。
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5月3日
4月26日