市民グループ 「伊達判決を知って」 30日 教文で学習会
米軍駐留は憲法9条に違反するとの判決が下された「砂川事件・伊達判決」の学習会を市民グループが30日(金)、川崎市教育文化会館第4〜5会議室で開く。判決は最高裁で破棄されたが、今年に入り、時の最高裁長官が公判日程の見通しを駐日米首席公使に伝えていた公文書が川崎区の元大学教授によって明らかにされた。主催者は「起訴された一人も川崎市民。地元に関わりの深い問題だと知っていただきたい」と訴える。
「司法への信頼傷つけた」
「砂川事件」は、60年の日米安全保障条約の改定を控える最中に起きた。57年7月8日、東京都北多摩郡砂川町(現立川市)の米軍旧立川基地拡張のための測量に反対するデモ隊の一部が基地内に入り、今年2月に亡くなった元川崎市議の坂田茂さんをはじめ、7人が刑事特別法違反罪で起訴された。東京地裁の伊達秋雄裁判長は、59年3月、米軍駐留が「戦力の保持に当たり、憲法9条に違憲する」と無罪を言い渡した(伊達判決)。これに対し、検察側は、高裁への控訴を飛ばす「跳躍上告」で最高裁に上告。同年12月、最高裁は1審を破棄し、差し戻しの判決で7人全員が有罪となった。翌60年1月19日に新安保条約が調印された。
08年、国際問題研究者の新原昭治さんによって開示された米公文書で、時の田中耕太郎最高裁長官が、ダグラス・マッカーサー2世駐日米大使と会い、裁判情報を伝えていたことが判明した。そして今年1月、川崎区四谷上町の布川玲子山梨学院大学元教授(法哲学)が米国立公文書館に書面での開示請求で書簡を入手。田中長官が決定日の上告審の公判が決まる5日ほど前に共通の友人宅でレンハート駐日米首席公使に判決期日や裁判の見通しなどを語っていたことが明らかになった。裁判所法75条では評議の秘密が定められており、田中長官の行為について布川さんは、法に抵触していると指摘。「司法に対する信頼感を傷つけた」と批判する。
「地元に関わりの深い問題」
学習会は「『伊達判決』と安保条約を考えるつどい」実行委員会の三角宏さんが発案した。かねてから砂川事件に関心を寄せていた三角さんは、坂田さんと生前、親交があり、布川元教授とも昔から近所づきあいがあった。「自分の周りの2人の川崎市民が重大な問題に関わっていた。知らせない訳にはいかない」。砂川事件前の同闘争で活動し、「伊達判決を生かす会」に参加する大高陽さんと、亡くなった坂田さんと同じ旧日本鋼管OBの宮野勝弘さんとともに実行委員会を立ち上げ、坂田さんの追悼を兼ねて開催することになった。三角さんは「この問題は戦後の日本のひずみの一つだと知っていただきたい」と三角さんは訴える。大高さんは「三権分立の放棄であることを学習会を通じて分かっていただければ」と語り、多くの市民の参加を呼びかける。実行委員会は、今回の学習会をきっかけに、今後さらに理解を深める場を設けていきたいとも話す。
当日は、午後6時から8時30分まで。参加費用は資料代500円。砂川事件のビデオ上映と、布川元教授の講演「田中耕太郎最高裁長官と砂川事件『伊達判決』〜最近明らかになった米開示文書から〜」を予定。
詳細は大高さん(【電話】090・8109・6120)まで。
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5月3日
4月26日