川崎市は臨海部の工場の操業環境の向上や産業競争力を強化させるための投資促進制度を創設する。このほど制度案を公表し、12月11日まで意見公募(パブリックコメント)を行い、来年4月からの一部運用を目指す。
臨海部をめぐっては、創業から数十年が経過し、設備老朽化が深刻であるにもかかわらず、大規模投資を行えずにメンテナンスを繰り返す工場がある▽稼働を停止している製造ラインが放置されたままとなっている▽敷地内に大規模な遊休地などの増加--といった課題が指摘されている。
「今後、企業撤退のリスクが増加し、災害対応力の低下を招く恐れがある」と市の担当者はいう。また、川崎市の二酸化炭素(CO2)の排出量は産業系が約7割を占め、老朽化した設備をメンテナンスだけで稼働させてしまうと、温室効果ガスの排出量削減に向けた取り組みの停滞にもつながる。
市税収入の減少は深刻だ。2018年度の市の法人への課税額約1056億円のうち、川崎臨海部の課税額は約396億円で約4割を占める。1995年に比べ償却資産にかかる固定資産税の収入は40億円減少しており、状況に歯止めをかけなければ、今後市民サービスの低下につながりかねないとしている。
このほど示された制度案では、【1】設備投資促進の補助金を支給する制度【2】土地利用に関する奨励金制度の創設【3】企業誘致のための補助制度の創設などを盛り込んだ。このうち、【1】と【2】については今年度中に制度を構築し、来年4月から運用を開始。【3】については2022年度以降に制度を施行するとしている。また、制度は5年間の時限的措置として効果や課題を検証しその後のあり方につなげていくとしている。
制度案は、市ウェブサイトや区役所、図書館などなどで閲覧できる。
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