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やまゆり園事件特集 あの日から1年 今思う 「触れ合える」を当たり前に 脳性麻痺当事者 猿渡達明さん

社会

掲載号:2017年7月27日号

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障害者が地域に出やすくるなるため「環境整備」の重要性を訴える猿渡さん
障害者が地域に出やすくるなるため「環境整備」の重要性を訴える猿渡さん

 19人の尊い命を奪い、社会に衝撃と不安をもたらした津久井やまゆり園での事件。犯人の言動からは障害者への差別心が犯行の大きな動機となったことが伺える。かつて相模原市で生活を送っていた脳性麻痺当事者の猿渡達明さんは差別を無くすために「障害者と日常的に触れ合うことが重要」と指摘する。

 都内出身の猿渡さんは結婚を機に、1998年から12年間市内で生活。その間、障害者の自立生活センターなどに勤務し、市の障害者福祉計画にも携わった。現在は都内のNPO法人に勤めながら、障害者をテーマにしたテレビ番組にも出演している。

「いつかは起きるのでは…」

 今回の事件は障害者を狙った世界でも類を見ない卑劣な犯行。ただ、猿渡さんは「いつかはこうした事件が起きると感じていた」と話す。「子どもの頃、自分の障害を巡って家族が口論したり、いじめを受けたりすると『障害者はいらない』と暴力が自分に向かって来るのではないか」と思った。当事者だからこそ強く感じてきた「恐怖」が、今回の事件で現実のものとなってしまった。一方、相模原で事件が起きたことに「なんでまた相模原なのか」という思いもあった。2008年1月、市内で知的障害の男性が母親に殺害される事件が起きた。犯行理由は複雑だが、その中の一つは「自分(母親)がいなくなったあとが不憫」というものだった。「どちらも土地柄や地域性の問題ではないが、障害者への支援や取り巻く環境が違えば起きなかったかもしれない」と話す。

触れ合いが人を変える

 「障害者を殺害すれば国のためになる」。被告は逮捕後の取調べでも障害者への差別発言を繰り返した。ネットの世界では被告の差別発言を称賛し擁護する声が少数とはいえ確かに存在した。「障害者への差別はどうしたら減らせるのか」。そんな問いかけに、猿渡さんは「日常的に障害者と触れ合える環境を作ることが重要」と話す。内容自体は目新しいものではないが、猿渡さんは自身の経験から確信を持って発言する。

 猿渡さんは過去に相模原市社会福祉協議会の事業で市内の学校を訪れ、障害者への接し方をテーマに授業を受け持った。そこで出会った生徒の一人は障害者への介助などに興味を抱き、福祉系のコースを有する高校へ進学。猿渡さんとはその後も交流を続け、「当たり前」のように猿渡さんの引っ越しの介助に駆け付けるようになった。「人は人との触れ合いを通じ変化する」。そう、強く実感した。

 そして、日常的な交流を行うには「障害者も勇気を持って地域に出ていく必要がある」という。もちろん、障害の重さによってその難易度も異なるが「地域に出て、知らない人と関係を作っていくことは、本人はもちろん家族にとっても素晴らしいこと。そのためには、安心して地域に飛び込むことができる環境作りが必要」と話した。
 

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