さがみはら中央区版 掲載号:2018年12月6日号
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担当記者レポート 1万人の中で「有終の美」 にじむ「人柄」、消えぬ「炎」

スポーツ

名古屋からギオンスへ駆け付けた楢崎の登場に、目には光るものが(上)「背番号1」が似合う背中は、今まで背負ってきた大きなものをこの日で一度降ろすことに(右下)鋭い眼差しは今後も指導者として生き続けるであろう
名古屋からギオンスへ駆け付けた楢崎の登場に、目には光るものが(上)「背番号1」が似合う背中は、今まで背負ってきた大きなものをこの日で一度降ろすことに(右下)鋭い眼差しは今後も指導者として生き続けるであろう

家族、盟友・楢崎の登場に涙

「まずはじめに、鹿児島ユナイテッドFCの皆さん、J2昇格おめでとうございます」。

 日本サッカー界に偉大な足跡を残し、「レジェンド」と呼ばれた男が迎えた引退セレモニー。1万超の観衆が静まり返る中、川口能活が開口一番発ったのは、「メディア受け」を狙った美辞麗句ではなく、前節までに初のJ2昇格を決め、最後の対戦相手となった鹿児島への賛辞と敬意だった。実直で、誰に対しても真摯に向き合う川口の人柄がにじみ出た言葉だった。

 「らしさ」はピッチでも見せてくれた。最大の山場は後半9分。ロングボールに抜け出した相手選手と1対1になった川口。一気に飛び込むのではなく、冷静に間合いを詰めシュートコースを限定すると、放たれたシュートを右手一本でブロック。25歳の相手FWよりいち早くこぼれ球に反応した43歳の川口は、態勢を崩しながらも必死に右手を延ばし、ボールを絡め獲った。若くから高く評価されてきた抜群の反射神経と経験に裏打ちされた冷静な対応が成せる業。その姿は、かつて日の丸を背負い日本を幾度となく救ってきた「炎の守護神」そのものだった。

 試合後、セレモニーに先立ちあいさつに立ったSC相模原の望月重良会長は「すごかったですね、今日の試合。能活まだまだやれるんじゃないかなと。来年もう一回やらないかと誘いたくなるくらいでした」と興奮気味に語った。恐らく、この日ギオンスに詰め掛けたファンも、望月会長と同じ思いだっただろう。

家族、仲間へ感謝

 今季は苦しんだ。最終戦を除く出場5試合で17失点。最終戦の前は「4点5点取られたらどうしよう」と恐怖すら感じていた。そんな川口を家族が支えた。夫人は最終戦を控え特別な緊張感に包まれる川口に「楽しんできたら」と一言。「気が楽になった」という川口は仲間とともに堂々たるプレーを披露し、完封勝利で自身の最後の舞台に花を添えた。セレモニーでは、永遠のライバル・楢崎正剛(名古屋グランパス)がサプライズで駆け付けた。突然の登場に、言葉は少なかったが、熱い抱擁を交わし両者が見せたその表情は、2人が歩んできた険しい道のりと固い絆を物語っていた。

 セレモニー後の記者会見で今後の予定を問われた川口は「まだ決まっていません。自分がやってきたことを継承できるようにという思いはあります」とだけ語った。今後は指導者として第2の人生を歩んでいく。自身を超える「日本最高のGK」を育てるため。25年間本当にお疲れ様でした。
 

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