さがみはら中央区 経済
公開日:2023.10.05
事業承継 兄弟どっち?
南区製造業の場合
企業を存続するにあたり「事業承継」は避けて通れない問題でもある。「誰が継ぐのか?」。複数の候補者が想定される場合はなおさら難しいと考えられる。南区古淵の製造業、「株式会社シグマ工業」の沼澤剛志さん(46)は3年前、先代の父親が倒れたことを機に、会社を引き継いだ。
大手メーカーの子会社のエンジニアだったが今から20年ほど前、先代から呼ばれ、シグマ工業に入社した。同社にはすでに兄がおり、後継について一般的に「長男」となるケースがよく見られるが、父親は「2人で相談して決めてほしい」と伝えていた。電気系エンジニアである兄とメカ系エンジニアである沼澤さん。経営についての考え方は異なり、沼澤さんは当時「(将来社長は)兄がやればいい」と思っていた。
一社依存に危機感
ただ、取引先がほぼ「一社依存」だった同社はリーマンショック後、徐々に売上が落ちていく。不安を感じた沼澤さんは商工会議所に相談。すぐに「同志が集まる」工業系の研究会に入会した。「そこで先輩方から色々な話を聞き、『自分が何をやりたいのか』が明確にわかってきました」
一方、沼澤さんによると兄はどちらかというと「やさしい」タイプで、「このままでいい」という考え。会社自体にもそういう雰囲気があったそう。
父の死後「自分が」
今後の経営に危機感を持つ沼澤さんは研究会で活動する中で、「社長になりたい」という思いが強くなっていく。「わたしたちの会社の(各種検査装置をつくる)技術は世の中に必要なもの。社会がより安全になるために、その技術をより遠くまで広め会社を発展させていきたい」。父親が亡くなった2週間後、沼澤さんは兄に告げた。「しっかりやるので、社長をやらせてほしい」
その後、周囲に事業承継を報告する際、沼澤さんがよく言われたことがある。「兄貴、すごいな。よく弟に任せたね」。想定外のリアクションに少し驚いたが、「確かに、器の大きい人ですね。自分で言うのもなんですがお互いリスペクトできています」。現在兄は専務として会社を支え、沼澤さんは販路の拡大に力を入れる。「経営は、自分の思いをしっかり持つことと会社の未来をより遠くまで見られる(考えられる)ことが大切だと思います」
専門家の見解
このような兄弟間、あるいは複数の候補者がいる中での事業承継について、市内で活動する中小企業診断士は「トラブルを回避するために、【1】候補者に対して『選ぶ基準』を明確に示すこと、【2】親族や関係者に『十分な説明』を行うこと、【3】後継者へ『経営権』を集中させることが重要」と話す。ただ今回のケースでは、後継者を決定する前に先代が他界し、【1】〜【3】の取り組みが十分でない状況であったが「先代は、兄弟の特性と沼澤さんの経営者としての資質を見抜き、水面下で準備を進めていたのだろうと感じます」と推測した。
こういった事業承継に関心のある人にむけ、相模原商工会議所は10月24日(火)、フォーラムを開催する(午後2時・市立産業会館)。問い合わせは同会議所経営支援課【電話】042・753・8135。
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