七五三や成人式など、子どもの成長を祝う節目の行事を経済的な理由で諦めていた親や本人たちを応援しようと、市内の写真館や着付けサロンの経営者が市民団体を立ち上げ、撮影会を開催する。
きっかけは「はれのひ」
市民団体の名は「着物de文化フォト未来事業」。代表で30年近く写真スタジオ「魔耶写真館」(中央区)を営む魔耶さんと副代表で着付けサロン(緑区)を経営する齋藤優見さんが立ち上げた。
活動のきっかけは着付け業者が成人式直前に閉店した2018年のいわゆる「はれのひ」事件。魔耶さんは「同業者として自分たちにもできることはないか」と多くの人たちと話をする中、一人親や住民税非課税世帯など経済的な事情で文字通り「晴れの日」を祝うことができない家族がいる実態に直面する。「事件の救済は著名人や大手企業がしていたので、私たちにできることをやろう」。そう考えた魔耶さんは同年秋の七五三時期に合わせ、齋藤さんと「応援撮影会」を企画した。
2人の動きに行政も協力。緑区から地域活性化補助金がおりたことで、緑区民を対象に希望者を募集。児童福祉施設の子どもたちも招待した。
成人式や七五三では、着物のレンタルや写真撮影などで総額20〜50万円かかるともいわれる中、「応援撮影会」では着物の着付け・レンタルからヘアメイク、写真撮影など全て込みで「着物のクリーニング代として」(魔耶さん)5500円で請け負う。写真の台紙なども通常使用するものと差をつけないなど「支援」と感じさせないこだわりを見せる。
未来へつながる思い
2020年はコロナ禍で中止となったが、3年間で90人以上が参加。その中で2人はそれぞれに事情を抱えた参加者たちに接してきた。
「この金額なら」と自分で費用を捻出して撮影に臨んだ24歳の男性は、友人の成人式の写真が羨ましかったという。撮影を終え「自分の自信になった。母親にプレゼントする」と胸を張った。
また知的障害の妹に撮影をプレゼントするという姉とその姉に同じように撮影をプレゼントするという友人の微笑ましい姿も。「自分がしてもらったことを将来、誰かにしてあげたいと思う人もいる。将来につながる事業だと思う」と齋藤さんは事業の意義を語る。魔耶さんも「応援する自分たちも多くのことを教えられた。ボランティアで参加した学生たちも感動していて、将来に繋げていくための使命感を感じている」と話す。
補助金は昨年度で終了したが、2人は事業の継続を決定。今年は市内全域を対象に募集をかける。費用については9月を目処にクラウドファンディングを立ち上げ支援援助を検討している。
今年の撮影日は10月16日(日)と22日(土)。会場は緑区役所。募集は事前予約制で100人。対象はひとり親家庭や非課税世帯、児童福祉施設の3、5、7、20歳を迎える人とその保護者。ただ年齢が超えている場合でも対応するという。内容は着物とヘア飾りのレンタル、着付け、ヘアメイク、写真撮影、写真(台紙付きワンポーズ六つ切り写真・後日郵送)。費用は5500円。写真の焼き増しや家族の着物レンタル・着付けなどはオプションで対応可能。
申込みはメールでkimonofoto.mirai@gmail.comまで。
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