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公開日:2025.10.30

相模原市消防局
初期消火体験にMR
地域の訓練などに導入

  • 専用のゴーグルを被り手にしたコントローラーで消火する(上)・ゴーグル内には実際の現場に火の手が上がった映像が映し出され(下)、仮想の消火器で火を消す

 相模原市消防局が10月から全国の消防機関に先駆けてMR(複合現実)技術を備えた消火体験機材を導入した。専用のゴーグルを付けると現場が映し出され、そこに仮想の火災が発生。投影された映像内に仮想設置された消火器を使い消火するまでの流れを疑似体験できる。今後、事業所や自治会などが企画する防災訓練などで運用する考え。

 近年、災害や火災の現場で「初期消火」の重要性が改めて指摘されている。市消防局によると、昨年1年間の火災件数153件のうち33件で市民が初期消火を試みたという。MR体験機材を導入することで初期消火に対する市民意識を高め、被害を最小限に抑えたいという狙いがある。

 市は昨年度、消防イベントなどでこの機材を使用した啓発活動を6回実施。この時実施したアンケート調査で「個人宅に消火器を設置している」と答えた人は3割にも満たなかった。しかし、MR体験後の「もしもの時に消火器は重要だと思いましたか?」との質問には全員が「はい」と回答。「自宅に消火器を設置したいと思うか?」という問いには93%の人が「はい」と回答したという。こうした市民の反応なども加味し市は「有用」と判断。4セットを導入した。

 MR体験機材は、専用のゴーグルを装着することで映し出された現場に火の手が上がり、目の前に火災が発生するというもの。「いつもいる場所」が「火災現場」に一変する。出火場所や延焼範囲、消火器の設置場所、消火剤の量などを事前に設定することができ、難易度を訓練対象者により変えることができる。

 これまでは水を的にめがけて放水する「水消火器」が訓練の主流だったが、MR体験機材では「火」が燃え上がるにつれて煙が立ち込めるなど、より現実的な火災現場を再現。体験後には消火活動が5項目で評価され、点数化される。

 消防局関係者は「ゲーム的な要素も踏まえた装置で防災教育の入り口。初期消火の必要性を認識していただき、消火器がどこにあるか、いざという時には自ら行動できる市民が増えれば」と話している。

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