第14回フォトシティさがみはらのアマチュア部門で金賞に輝いた 井上 和人さん 相原在住 67歳
写真で伝える地域の魅力
○…東京のビル街を背に、自転車をとばして満面の笑顔でアングルに飛び込んでくる子ども。向けられたカメラを見据え、興味津々の表情だ。そんな風景を切り取ってパシャリ。総合写真祭「フォトシティさがみはら」のアマチュアの部へ、2回目の挑戦で初の金賞を手にした。14年の歴史の中、同部で相模原市民が金賞を受賞するのは初めて。「市制60周年の年に素晴らしい賞を頂けて光栄」。偶然の受賞だと謙虚しつつも、思わず笑顔がこぼれる。
○…町田市相原町出身。子どもの頃は物作りが好きで大工に憧れた。もう一つ、幼い心を躍らせたのは『祭り』。「甘いものが少ない時代、祭りで親戚が集まると饅頭が食べられた。上手くいけば二つもね」と古き良き思い出に目を輝かせる。仕事で福島県に越した後、民俗芸能や伝統的な祭りに興味を持つように。休日には地元行事に出掛け、写真に収め始める。めざすのは躍動感。カメラを構えながら、さながら自分が踊っているかのように、太鼓を叩いているかのように、その錯覚を楽しみながらシャッターを切る。写真との付き合いはそこから始まった。
○…定年退職した今は、相模原で無農薬野菜の栽培に打ち込む。畑と向き合う日々の中、ライバルは雑草と虫だ。育てた野菜は直売所に出したり、近所の人におすそ分けしたり。「表面を虫にかじられていても、無農薬を喜んでくれる人がいるのは嬉しい」。38年暮らした福島の知人や神社の宮司ともいまだ親交があり、行事の度に現地へ赴き、カメラマンとしての役目を果たしている。