半数 新たな資料
八王子市郷土資料館(上野町/【電話】042・622・8939)で、7月22日から特別展「戦後70年昭和の戦争と八王子」が始まった。1階フロア全体を使った戦争に関する展示は10年に1度。今回の展示は9月30日(水)まで。
同館では戦後40年、50年、60年とこれまで10年ごとに大型の特別展示を行ってきた。今回の展示は1931年の満州事変から、日中戦争、太平洋戦争、そして終戦まで、日本が戦争時代だった頃の様子がわかるもの。
およそ半数は今回新たに展示されるものだという。当時の紙の資料のほか、無線機や野戦電話機、軍隊ラッパ、出征の昇り旗、日章旗への寄せ書きなど。特に珍しいと思われるのは毒ガス対策の「市民用試臭機」と呼ばれる器具。同館職員は「軍用ではなく、おそらく現在でいう消防団レベルの組織で使われたものではないかと推測されるもの。毒ガスに対する警戒が一般の人の間でも存在したことがうかがえる」と話す。「戦後70年が経過し、体験者が少なくなってきている。そういった中で少しでも戦争を伝えていけたら」
また、今回新たな試みとして、戦時中の一般家庭の部屋を再現したブースを設けた=写真。当時使われていたタンスや薬箱、子供向けの雑誌など生活の道具によって雰囲気を感じ取とれる。「ガラスケースの向こう側ではなく、奥行きのある空間の中でリアルに体験してもらえれば」
図録 当時の手紙など
なお同館では戦争の特別展ごとに資料も発行している。これまで総覧的な大型資料や体験談、コンパクトにまとめたブックレットなどを作ってきたが、今回の発行する「図録」では、当時の手紙など文字による資料を多く掲載した。「紙類は展示の場合だとガラスケースに入れてあっても見えにくいので、書籍の方が適している」として、文字が読めるように大きなサイズで掲載するなど工夫をした。「解説を読む以上に、当時の言葉が訴える迫力を感じてもらいたい」
図録には戦後の1945年以降の資料も掲載した。焼け跡が再建されていく様子を写した写真や墨塗りされた教科書、織物業が復興する様子の資料なども。A4サイズ、全132ページ、カラー。価格は600円(税込み)。同館でのみ購入可能。
同館の開館時間は午前9時から午後5時まで。月曜休館。入館無料。
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