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東京五輪の頃、1つの村が八王子へ 由木エリアの今と昔

社会

掲載号:2018年8月16日号

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 2020年東京五輪・パラリンピックまで2年を切り、五輪ムードが高まっているが、前回1964年の東京五輪の頃、八王子市にとって大きな変化があった。1つの村が八王子へ編入されたのだ。それが、現在の南大沢や堀之内、松木などの一帯を占めた由木村。この地域の昔と今を見た。

 由木村は1889年、神奈川県の村として誕生し、4年後の93年に東京都(当時は東京府)へ移管された歴史をもつ。その山深い丘陵地の村は都心に近い立地を生かし、徐々に変貌を遂げていくことになる。

コイ養殖 村に貢献

 村の発展に貢献してきた企業の一つが、1921年に松木でコイの養殖場を開業した吉田観賞魚販売だ。「なぜ、この地でコイの養殖を始めたのかとよく聞かれるのですが、祖父の定一が井戸を掘ったところ、抱負に水がわき出してきたことがきっかけになったそうなんです」と現在、同社の代表を務める吉田俊一さんは振り返る。

 当時扱っていたのは食用。栄養源となることから人気を集め、同社に見習い、現在の松木周辺には、同じくコイの養殖業にあたる人が増えていったのだという。

 下水道が整っていない当時は、生活用などとして安定した「水」が求められていたことから、同社は、コイの養殖に関する指導のほか、周辺住民へ水の提供も行っていた。

「戦後ぐらいから、食生活の変化もあり、観賞用のコイを育てるようになったんです」と俊一さん。

「何か起こっている」

 幼少期の俊一さんが子どもながらに「何か起こっている」と感じた出来事がある。村の名士であった定一さんのもとに、多くの村民が相談に集まることが増えていったのだ。「何かあるのかな、と思っていました。今思えば、八王子へ移管するための相談だったんですね。ピリピリとした雰囲気が伝わってきました」

 移管は、「気づけば、住所が八王子になっていた」という感じで進んでいったのだという。「不思議な感じでした」

新旧入り混じるように

 その後、70年代半ばごろから、旧由木村地域は都心のベッドタウンとしての開発が進み、新住民が数多く転入してくるようになると、地域住民間の交流が少なくなっていったのだという。

 そんななか、立ち上がったのが、俊一さん。新旧住民の交流が果たせるように数年前、同じ旧由木村に住む仲間が集まる地域コミュニケーションの場を創設。大栗川でイベントを開くなどしてきた。「住民が自慢できる街にしていきたいと考えています」。旧村から新たな人のつながりが生まれつつあるようだ。

現在の店舗内でコイをみつめる俊一さん
現在の店舗内でコイをみつめる俊一さん

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