「切実に思い始めたのは5年くらい前。近くの商店が閉まってしまったこと。かつては町会内にスーパーがあり配達もしてくれていたんですが…」。京王線山田駅、JR八王子駅(南口)などを最寄り駅とする緑町にある「緑町南町会」は昨年5月から、エリア内の公園にスーパーの移動販売車が訪れている。毎週火曜日と金曜日の2回、時間はそれぞれ20分程度。「先日の雪の日は無理でした。『そういう時こそ来てほしいんだよ』ってみんなに怒られちゃいましたよ」と杉山耕太郎会長は苦笑い。
買い物困窮者を救おうと始めた。今は町内から最も近くのスーパーでも1キロメートル以上ある。また、高齢化に伴い車の免許を返納する人も増えた。そのような中、移動販売車は市や社会福祉協議会の協力を得て実現した。「なるべく民主的な集まりを目指しています。役員が決めて下すのでなく」。この取り組みも会員のニーズを察知してのもの。一方、コロナ禍でイベントの開催が難しい中、1月にどんど焼きは実施した。「お飾りをゴミに出すのはどうしても…という意見があって」。声を聞き柔軟に対応する。
名物の企画といえば40年以上続くカラオケ、踊りなどの演芸大会。高齢者を対象としたものだが、9月の敬老の日でなく、あえて6月に開催する。「本番」は家族で過ごすだろうと、それ以外のタイミングを選んでの実施となっている。
移動販売車は運営するダイエーによると販売だけでなく、「地域コミュニティの形成」もその役割と考えている。杉山会長は「集まることが一つの楽しみになればいい」と話す。2月15日、いつものように公園に車がやってくると20人ほどの地域住民が集まってきた。ネット通販が不得意で「見て買いたい」人たちという。車が去った後、公園ではまだ会話が弾んでいた。
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