本紙(2019年8月15日号)で紹介した市内在住の石井忠明さん(83)による書籍「ポチとター坊と焼夷弾 八王子空襲体験記」が動画になった。現在ユーチューブで公開されている。動画のタイトルは「イラストと写真で綴る八王子大空襲体験記」。
同書は石井さんの戦争体験をベースに作られた小説仕立てのドキュメンタリーだ。揺籃社(追分町)から出版した。美術短大を卒業した石井さんの長女がイラストを手掛けた。出版から3年ほど経っている今でも市内の書店で販売されている。難しい漢字にフリガナを付けたり、説明を加えているが、422ページに及ぶ文章量から「子どもたちが読むのは大変かもしれない」と石井さんが再考し、今回の動画が実現。制作にあたり、イラストは倍に増やした。朗読は「高尾山とんとんむかし語り部の会」が担当している。
「空気感伝えたい」
45年の8月2日未明、八王子の空をB-29が襲った。石井さんがちょうど疎開先から戻ったその夜だった。小門町の自宅で空襲を受け、慌てて桑畑に逃げ込んだ。機銃掃射も受け、近くでは別の家族の母親が子どもを抱えて亡くなった。
「空襲の後はコオロギの声さえ聞こえず、夜が静かすぎて不安になった」と石井さん。疎開先ではコオロギの声がうるさいくらいだったのに、空襲は虫さえも奪ってしまった。
「空襲は体験しないとなかなか分からない。子どもにこそ知ってほしい」。石井さんはそう締めくくった。
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