みんなにお世話になるばかりで、この歳で何もできない。お礼がしたい--。寺田町に住む倉本佳代子さん(82)は夫を亡くした後、7年ほど前から折り紙で傘や鶴を制作。思いのまま、各所へ贈り届けている。
傘は手のひらサイズで大小さまざま。1本作るのに1時間半ほどかかるといい、素材は竹串やつまようじを中棒に折り紙や糸を使い、開閉できるよう仕上げる。作り方は独自で、調布市職員として学校給食に携わっていた30代の頃、同僚と作った記憶がもとになっているという。
股関節を手術した5年前、倉本さんはリハビリ中に作った30本ほどの傘を病院に寄贈。医師からは「これが手元にあるとホッとする」と喜ばれたという。コロナ禍の一昨年以降は、医療現場のひっ迫を伝えるニュースをテレビで見て一念発起。取り上げられていた北海道や栃木県など各地の病院に電話して承諾をとり、「少しでも支えになれば」と5施設に傘や鶴を贈った。ある病院からはお礼の手紙が届き、「本当にうれしかった。宝物」と笑顔をほころばせる。
今年2月には、道ばたで買い物の荷物を持ってくれた市立緑が丘小学校の児童3人に、傘の作り方を伝授。児童らは5日間ほど自宅に通い、何度か挑戦した後に完成できるまでに至った。倉本さんは「子どもたちは『優しい』と言ってくれた」。そっと振り返る。「私は物覚えが悪いから、分かるまで何度でも教えてあげるの」。傘や鶴は、ほしい人がいればあげるという。一つずつ思いを込めて、ほぼ毎日作り続ける。
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