昨年末、住宅ローン会社が調査する「本当に住みやすい街」で大賞を受賞した西八王子。テレビ番組で特集されるなど、今注目されているエリアだ。一方で「なぜ西八？」と、地元住民から戸惑いや自虐の声も。西八王子は本当に住みやすい街なのか、地元の人に話を聞いた。

　他県出身で西八南口商店会でケーキ店を営む久保順子さんは「良い意味で都会じゃなく生活する場所。病院やスーパーが近くにありコンパクトにまとまっているので、買い物も散策もしやすい。あとは坂道がないのも大きい」と話す。

　散田町にまちづくりの活動拠点を構えるライフスタイルプランナーの渡邊雅彦さんは「西八王子はこれからつくり上げていく街」という。「古い建物が多く、新たにつくり直すことも、古いものを生かしながら時代と融合することもできる」とポテンシャルを語る。

畑やジャリ道

　「田舎感がよい」と語るのは駅北口の人気ラーメン店、店主の石川征之さん。生まれも育ちも西八王子。「畑や砂利道、田んぼも山も川もある。開発しきれていない町並みが落ち着く」そう。

　障害者専用のスポーツジムを西八王子で運営する崎田京子さんは「駅南口すぐの商業施設『コピオ』は、多目的トイレが２カ所、駐車場もあるので、車椅子の人には利用しやすい施設」との情報を寄せる。

　駅南口で不動産会社を営む加藤叔永さんは「高尾山など自然があり、都心にも近い。八王子駅より賃料が安いというのも住みやすさの一つなのでは」と分析する。

町会がしっかり

　「住みやすさとは安全安心なまちづくり」と語るのは千人町二丁目町会の高野元伸会長。同町会を含めた３町会で「オール千人町」として、防犯対策に取り組んでいる。街路灯のＬＥＤ化、防犯カメラの設置、パトロール巡回などにより、空き巣などの犯罪は「皆無」という。「犯罪者は掲示板がマメに更新されている地域を嫌がる。つまりきめ細やかな気配りや住民交流が大切で、住民が街をつくる」と語る。

女性が元気

　駅北口の西八商栄会で一昨年から飲食店などを営む小金沢一実さんは「女性経営者が元気な街」と答える。アパートを改装したカフェ、週３日間のみ営業するバーなど個性豊かな女性店主の店が多いそう。小金沢さんは「駅も混まずゆったりしている雰囲気がお気に入り」だという。