気負いなく、手腕を発揮

　○…90代続く八王子税務署で、初の女性署長に就任。東京国税局の管轄84署のうち女性署長の割合は１割程度。「自分は職務をまっとうするだけで、女性だからという気負いはない」と穏やかに話す。ｅ―ＴａＸ（電子申請）など、納税者の利便性向上につながる普及活動に一定の手応えを感じつつも、「やるべきことはまだまだ残っている」と取り組むべき課題解決への意欲を示す。

　○…生まれは福岡県。小学校の通信簿には「落ち着きがない」と書かれていた。「一カ所にじっとしているのが嫌だったのかも」。のちに専門職を目指す中で「税の番人」として名高い国税の仕事を知り、23歳の時に国税専門官採用試験に合格。税務調査や税金徴収など、業務を通じてさまざまな企業のトップと接するたびに、「普通の会社勤めの20代では経験できないことをさせてもらっている」と身の引き締まる思いを抱いた。

　○…署長の立場から考える、現場の課題は何か。就職氷河期の採用抑制もあり、中堅職員の空洞化などが喫緊課題の一つだと捉える。解決に向け、現場の職員の負担をできるだけ減らすために「今が過渡期」である事務作業の効率化をさらに進め、職員のパフォーマンス向上に力を入れる考えだ。

　○…今年の７月までは仙台に赴任していた。「あちこち出かけるのが好き」と話す通り、仙台を基点に、青森のねぶた祭や秋田県・大曲の花火大会など、地域の催しへ気の向くままに足を運んだ。八王子に就任早々、８月に開催された市内随一の祭典「八王子まつり」をじっくり堪能するため、ホテルに宿泊してまで見に行った。そんな「地元の人の熱意と活気を感じる街」でこれから、手腕を存分に発揮していく。