地域の未来、一緒に灯す

　○…大栗川と言えば、八王子の東部地区(旧由木村)の中心を流れる川。この川を舞台としたイベント｢大栗川キャンドルリバー｣は、子どもや地域住民で約２万個のキャンドルに火を灯し、幻想的な一夜を演出する。旧由木村と八王子市の合併50周年を記念に10年前から始まった催しで、「旧住民と新住民とが一緒になって交流できる場として始まった」と経緯を振り返る。

　○…松木にある園芸専門店「グリーンギャラリーガーデンズ」に勤務。親族で同所を中心に、観賞魚販売店やレストランなどの店舗を展開している。大元の養殖業は創業１００年越えの老舗企業だ。子どもの頃から値札付けの手伝いをするなど、漠然と「自分はここで働くのだろう」と思っていた。だが大学卒業後、「すぐには受け入れてもらえず」、視野を広げるため一般企業に就職することになる。

　○…｢あのときはショックでしたね｣。戸惑いを抱えつつ、入社した重機販売会社では、４年半奮闘し、ビジネスマナーや顧客との付き合い方などを体得。「モノを売るだけじゃない、お客様に信頼してもらえること」の大切さを学んだ。家業に戻ってからは、前職で活用していたデジタル技術などを導入し、より働きやすい職場づくりに励んでいる。

　○…昨年から実行委員長となったが、本業との両立の難しさに「やめようと思った」ことも。しかし、我が子の通う小学校で、児童手づくりの地元かるたの｢き｣が｢キャンドルリバー｣であるのを見たとき、この10年間で子どもたちの記憶にしっかりと刻まれていることを実感した。共に灯すからこそ、記憶に残る。「由木と言ったら思い出してもらえるような、そんなイベントにこれからもしていきたい」