惜しまぬ努力　掴んだ快挙

　○…男子高校生で優勝したのは、｢大会史上初｣という快挙だ。「後から聞いて驚いたが、うれしかった」と、偉業達成に顔をほころばせた。幼少期からジュニアクラブに所属し、着実に実力をつけてきた。演技の直前まで「気持ちと手先が合わず」調子を崩していたが、披露する４種目のうち、最初の演技が得意の「スティック」に決まったとき、幸運の女神が微笑んだ。ミスなく演じ切り１位を獲得すると、勢いに乗って残りの３種目も上位を維持した。

　○…国士舘高等学校の２年生。先に新体操を始めたきょうだいの姿に見惚れ、４歳で競技を始めた。ジュニアクラブの母体であった国士舘大学の系列中学校に進み、信頼を寄せるコーチ陣と共に技術を磨いてきた。リングやロープなどさまざまな手具があるなかで、一番気に入っているのはスティック。２個扱うリングなどと比べると１本のスティックは扱いやすく、「その分自分を大きく見せる演技や表現に集中できる」と魅せ方の研究に余念がない。

　○…高校より国士舘大学のキャンパスが自宅から近く、オフの日は大学の新体操部で練習することもある。先輩たちの背中を見て感じることや学ぶこと、憧れることも多い。３歳年上の兄は同大新体操部に所属。今回、同じ大会の団体戦で準優勝を果たしており、同じ競技を通じて兄弟で日々技術を磨く。

　○…大会史上初の男子高校生チャンピオンになった今大会だが、驚きは次第に自信に代わり、次に目指したい目標もできた。今年出場し、惜しくも２位だったインターハイで雪辱を果たすことと、次の全日本ユースチャンピオンシップで優勝することだ。「三冠を達成したい」。来年は高校最後の集大成の年、残る二冠の制覇を誓う。