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公開日:2026.10.08

東京工科大学 キャンパス内の桜から開発 クラフトビール 市内ブルワリーとタッグ

  • 染八エールを手にする(左から)松井教授、三澤さん、鹿島さん

    染八エールを手にする(左から)松井教授、三澤さん、鹿島さん

  • フルーティーな味わいの染八エール

    フルーティーな味わいの染八エール

 片倉町にキャンパスを構える東京工科大学(香川豊学長)応用生物学部の松井徹教授と学生5人の研究グループが、敷地内に咲くソメイヨシノの花から醸造用酵母の分離に成功。今春、長沼町の醸造所「(株)シェアードブルワリー」(小林大亮代表)と連携し、クラフトビール「染八エール」を共同開発した。

 今回の取り組みは同大学創設40周年事業の一環として行われたもの。身近な自然環境に存在する微生物を食品や医薬品などの生産に利用し、社会に役立てる研究を行う松井教授の研究室で「微生物を活用した酒造りを研究したい」という学生の熱意をきっかけに商品化プロジェクトがスタートした。

 自然界の花から採取される花酵母は、華やかな香りが引き出せる反面、酒造りに適した酵母の分離や発酵特性の解明が難しいとされる。

 松井教授らは毎年春にキャンパスを彩るソメイヨシノに着目し、「市内で採取した酵母を使うことで地域に根差した商品を生み出せるのではないか」と考え、2025年6月頃から同社と共同でビール作りに乗り出した。この酵母を用いたワインや沖縄県の伝統蒸留酒である泡盛の試作にも成功しており、今回がその商品化第1弾となった。

試行錯誤で結実

 開発当初はビール醸造に必要な発酵能力が確保できず苦戦したことから、同社と協力して実験を重ねた。酵母の種類などの条件を変え、何百もの候補を並べながら試行錯誤を繰り返した結果、今春、フルーティーな味わいで華やかな香りが特徴的なビールが完成。

 研究に携わった三澤樹さん(大学院1年)は「少しずつ条件を変えて実験を続けることが大変だったが達成感を感じられた」と振り返り、小林代表は「酵母本来の個性を感じてもらうため、ホップの量を抑えたシンプルなレシピを採用した」と工夫した点を明かした。

 商品名の「染八」は、酵母を採取したソメイヨシノと八王子から名付けられ、ラベルのデザインを手がけた鹿島千佳さん(大学院1年)は「可愛らしく、桜をモチーフにデザインした。誰でも描けるようなシンプルなキャラクターを意識した」と語り、松井教授は「八王子の桜という魅力の詰まった至高の一杯を作ることができた」と手応えを口にした。

 同商品は、長沼町にある店舗「SHARED BREWERYタップルーム」や同社の公式オンラインショップなどで販売され、好評のうちに予定数を完売したという。同研究室は今後も研究を通じて、地域連携を深めることを目指していく。

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