多摩市はこのほど、昨年度実施した市内の空家等(空家・空き室)調査の結果を公表し、市内で3946戸(空家率5・3%)あることがわかった。2013年の「住宅・土地統計調査」時と比べて空家率は4・3ポイント減少している一方で、今後急速な高齢化に伴い、空家等が増加していくことが懸念されることから、市では発生予防、適切な管理、利活用の推進など具体的な施策を検討していきたいという。
総務省では、5年ごとに「住宅・土地等統計調査」を行っており、13年に実施した調査では、全国の空家等数は約820万戸(空家率13・5%)だった。一方、その「住宅・土地等調査」で、多摩市内の08年の空家等数は5770戸(空家率7・5%)だったが、13年は7080戸(空家率9・6%)と約2ポイント増加していた。
空家が増えることで、市民の生活環境の悪化やコミュニティの希薄化など、安全・安心な住環境への影響が懸念されることから、多摩市では、空家等の実態を把握しようと、昨年7月から今年3月まで市内全域を対象に調査を実施。中古住宅の流通促進や住替え等の支援に伴う空家等の利活用を検討・推進など今後の施策につなげていくことをねらいとしている。
調査対象となったのは、「戸建て・集合住宅(持家)」「集合住宅(賃貸)」「集合住宅(公的賃貸)」。調査方法は、住宅種別ごとに、Web・住宅地図・アンケートの「机上調査」「候補抽出現地調査」「詳細現地調査」「所有者アンケート」など複数の方法を用いて行われた。
集合住宅が大半
その結果、市内全住宅数7万4110戸のうち、空家等数は3946戸で、空家率は5・3%(戸建て住宅1・2%、集合住宅6・4%)だったことが判明(表参照)。13年よりも全住宅戸数は690戸増加しているものの、空家等数は3千戸強減り、空家率は4・3ポイント減少した。
市では、この結果に対し、戸建て住宅については「13年の結果や都内の他の区や市と比較しても平均値以下」「所有者アンケートの結果によれば利用されている空家は利用頻度が高く、利用されていない空家の多くは維持管理がされている」と分析。一方で「所有者の約2割が高齢者の単身世帯のため、今後、所有者の世代交代の際に、放置されてしまう空家が増加することが懸念される」としている。
また集合住宅については「全住宅の空家等数のうち集合住宅の空家等数が約9割」「空き室の使用状況、今後の利活用は賃貸または売却が最も多い」と分析し、「空き室の賃貸化に伴い、管理組合の運営などへの影響が懸念される」としている。
市では「総務省の調査は、推定値で、今回の調査とは数値の開きがあるが当初予定していたよりも少なかった。引き続き動向を注視しながら、この結果を活かし、多摩市の住宅マスタープランやニュータウン再生とも絡めて、利活用の推進など具体的な施策を検討していきたい」と話している。
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