「被災地の子どもたちのために何かできることはないか」――。市内在住の長谷有里子さん(67)はこのほど、福島県の浪江町を訪れ、知人から譲り受けた「雛人形」を同町教育委員会へ寄付した。長谷さんは、東日本大震災以降、岩手県や福島県の被災地に個人でミシンや手芸用品、雛人形の寄付を行っている。「以前東北に住んでいて、今も娘たちが住んでいる。少しでもお役にたてれば」と話している。
長谷さんは、市内でキワニスドールの製作活動を行う市民団体「小さな天使」を主宰。キワニスドールとは、白い木綿生地に綿が詰められた身長約40cm、重さ約50gの人形で、医療現場で主に子どもたちが医師から病状や手術の説明を受けたり、注射を受ける際の気持ちを安らげるために使われているものだ。
「子どもたちのために少しでも協力できれば」。その思いを胸に、2010年から始めた「小さな天使」の活動。そうした中で、発生したのが東日本大震災だった。長谷さんは、かつて神戸に住んでいた時に阪神淡路大震災を経験。その後仙台に住んでいたこともある。震災当時、娘家族が仙台で被災し、津波の影響で避難生活を送っていたことから、「他人ごとではない」と感じたという。
そこで「子どもたちのために」と、その年の冬に友人たちの協力を得てクリスマスツリーと飾り付け用品を揃え、自身で寄付先を探した結果、岩手県山田町の仮設集会所に寄付することとなった。
次の年からは、ミシンや手芸用品を寄付。ここ2年は、長谷さんの活動を知った知人から譲り受けた雛人形を、福島県いわき市の福祉作業所と、原発事故の影響によって二本松市に避難している浪江小学校・津島小学校に寄付していた。
今年も知人から7段飾りの雛人形を譲り受けることができたため、浪江町教育委員会に相談したところ「来年オープンする予定の子ども園に置かせてもらいたい」との話をもらった。例年は、郵送していたが今回は物が大きいため長谷さんが直接現地へ持参。同教育委員会に手渡した。
2、3年は継続を
「現地では、復興が進んできているけど、クリスマスツリーや雛人形などは贅沢品で、まだまだそこまで手が回らないのが現状だと聞いた。私自身年齢的にも、今年で最後にしようと思っていたが、こうした品の寄付や活動はありがたいと言っていただいたので、あと2、3年は続けていきたい」と長谷さん。
現在、長谷さんの手元には、友人から「被災地の人たちに持っていってほしい」と着物を預かっているという。「一式揃っているわけでなく、帯枕や草履がない。雛人形も状態が良いものがあれば、処分する前に一度声を掛けてもらえたら」と呼びかけている。
詳細は、長谷さん【携帯電話】090・4843・1692、yuri-3kx@docomo.ne.jpまで連絡を。
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