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市調査団 ツバメの営巣場所に変化 30年の変遷を発表

社会

掲載号:2020年8月27日号

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東寺方小学校の人工巣に営巣するツバメ=同調査団提供
東寺方小学校の人工巣に営巣するツバメ=同調査団提供

 生物多様性の保全に取り組むための基礎情報として、2016年から17年にかけて実施された「多摩市ツバメ調査」の報告書がこのほど、「多摩市ツバメ調査団」(渡辺仁団長)から発行された。同調査では、現在の市内のツバメの営巣状況を確認し、30年前との状況を比較して多摩市の環境の変化や問題などを考察。その結果、ツバメ自体の数は減少していないものの、営巣場所が大きく変化していることが分かったという。渡辺団長は「この調査が多摩市の生物多様性の保全行政に有効に活用され、人とツバメの共生が末永く続くことを願いたい」と話している。

 多摩市では1986年、87年にパルテノン多摩の開館に合わせて市民参加型のツバメの分布調査を実施した。その後、調査が行われていなかったため、市民団体から現況を知るための調査の要望があり、2016年に多摩市と多摩市文化振興財団、市民団体、個人による延べ49人の調査団を発足。ツバメの営巣状況を調べ、30年前と比較して環境の変化や問題を明らかにすると共に、市民協働で行うことで身近な生物への理解を深め、共生、環境の保全を進めていくことを目的に2年計画で調査が行われた。

 調査は30年前と同じツバメ、コシアカツバメ、イワツバメ、ヒメアマツバメの4種を対象に市内を10地区に分けて実施。16年は予備調査、17年は春から4カ月かけて本格的な調査を行い、市の広報紙やSNSで市民からの情報収集にも努めた。

数は変わらず

 その結果、確実に繁殖した可能性がある巣は214あり、繁殖した可能性があるものの確実な観察を得られなかった12巣を含めると合計226巣が確認された。場所は市内4駅の周辺や尾根幹線道路沿いの事業所で多く確認された。また多摩川・大栗川に囲まれた聖蹟桜ヶ丘駅周辺で複数の巣がある建物が多かった。30年前の調査方法が不明なため、厳密な比較は難しいとしながらも、確実に繁殖した巣の数だけをみると30年前は212巣でほぼ同じ。そこに繁殖した可能性のある巣の数を加えると254巣で、今回は微減しているものの、渡辺団長は「ツバメの数は減少していない」と説明する。

人との共生が大切

 営巣場所は、かつては半数以上を商店が占め、ガソリンスタンドや歩道橋でも多く確認されたが、今回はマンションやアパートなどの集合住宅が激増し、戸建てや学校等の施設でも増加。30年前にはなかった防犯カメラへの営巣も確認された。渡辺団長は「ツバメはカラス等の天敵が近づきにくく人に近い場所で営巣する。人のライフスタイルが変わり、賑わい場所が変化したことで営巣場所も変わった。ツバメの数が減ったという人が多いが、多摩市では営巣環境の変化により姿を見る機会が減ったと考えられる」と話す。

 続けて「ツバメにとって人が住み、自然があり、人が歓迎してくれるところが良好な生息環境と言える。それは人にとっても同じことで共生が必要。巣やフンを嫌がるのではなく、フン受けや巣台を作るなどの環境づくりも大切」と力説する。最後に「今回の調査は貴重な自然情報。ツバメ類の30年の変化を追った事例はあまりない。長期的に継続して調査することで自然情報の変化を追跡していくことが望ましい。生物多様性の地域戦略の策定に役立ててもらえれば」と話した。

報告書を手にする渡辺団長
報告書を手にする渡辺団長

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