東京の南端から約360Km。伊豆諸島の最南端に位置する青ヶ島の唯一の学校「青ヶ島村立青ヶ島小中学校」(木下和紀校長)で9月20日、運動会が行われ、競技に取り組んだ全校児童・生徒11人と保育園児6人にメダルが授与された。手にしたメダルは、聖ヶ丘にある都立多摩桜の丘学園(山本優校長)の高等部の生徒が作ったもの。海を越えたメダルに、青ヶ島の子どもたちは目を輝かせた。
都立多摩桜の丘学園は、知的障害・肢体不自由な児童・生徒が通う特別支援学校。小学校から高等部、在宅、病院内の訪問学級に加え、島田分教室があり、現在約370人が在籍している。
同校は、昨年10月に行われた多摩市青少年問題協議会や多摩市社会福祉協議会、児童館、多摩市らで結成された実行委員会が主催する「ボッチャ2020TAMAカッププレ大会」の会場になっており、同校からも多くの児童・生徒が参加。大会入賞者に贈られるメダルも同実行委員会の依頼を受けて製作した。
製作したのは、高等部の肢体が不自由で重複障害がある生徒たち。作業学習の授業の中で、石こうと色をつけた水を混ぜて桜の花の型に入れ、固まったらやすりで削って洗った。ひとつ完成するまでの期間は2〜3週間。出来上がったメダル18個が入賞者に贈呈され、好評だったことから、以降も地域からの依頼を受けて製作を続けている。
「生徒の励みに」
今年8月、本州から遠く離れた青ヶ島小中学校から依頼が舞い込んできた。同校の木下校長は、昨年3月まで多摩市教育委員会にいた縁もあり、多摩桜の丘学園の学校便りを目にしていた。その中でメダルの注文を受け付けていることを知り、山本校長に相談。快諾を得た。
青ヶ島小中学校では毎年、村民も参加して運動会を実施しているが、今年はコロナの影響もあり規模を縮小。9月20日に小中学生と村の保育園園児6人だけの運動会を実施した。木下校長は「例年通りの運動会ができない中でも子どもたちは前向きに練習に取り組み、頑張っていた。それに報いてあげたかった」とメダルを依頼した思いを語る。
運動会終了後に、多摩桜の丘学園が作った「青ヶ島小中学校 運動会」とラッピングされたメダルが17人に手渡された。メダルを手にした小学1年生の辻希音花(ののか)さんは「とてもきれいなメダルで嬉しい」と喜んだという。木下校長は「今年の運動会は子どもたちも寂しかったと思うが頑張っていた。メダルを手にした子どもたちは喜んでいた。多摩桜の丘学園の生徒さんが一つひとつ手作りで素晴らしいものを作り、送ってくれて感謝している」と述べた。
一方、山本校長は「今回声を掛けていただいて嬉しかった。子どもたちも、海を越えて遠い所から自分たちの作ったものが求められたことは励みになったと思う。働くことを身を持って体験できて喜んでいた。メダルはこれからも作り続け、注文先を開拓していきたい」と話した。
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