落合にある動物病院の院長で先ごろ、ペットの飼い主向けの著書を刊行した 向後 亜希さん 稲城市在住 47歳
不器用から「輪の中心」に
○…当初思い描いていたのは女性向けの起業論。だが、企画を出した出版社から「飼い主に伝えたいことをまとめては」との回答。 東洋医学なども取り入れた自身が経営する病院に興味が集まった。 およそ１年かけてまとめたものは、かかりつけとなりうる動物病院の選び方など。「今伝えたいことを集約できた。自分の本をつくれて良かったと思っています」
○…２００９年に勤めていた多摩市内にあった病院の閉鎖を受けて独立。「私なんかが務められるのか」。不安は的中し、スタッフの声が耳に入らず、退職届を受ける憂き目に。先が見えなくなるなか、経営者の友人から「意見を言い合える環境を」という助言を受け、スタッフとの面談を重ねるようにすると離職率は低下。安堵と共に聞く耳をもつという教訓を得ることになった。今も指針にしていることだ。
○…人付き合いの苦手な女の子だった。周囲と上手くコミュニケーションを取ることができずにいたなか、転機が訪れたのは大学入学後。知人から子猫を譲り受けるとそのツンデレ具合に惹かれた。その初めての「親友」が病気になると必死で治療法を求め、芽生えた「友だちを守りたい」という思い。それが、獣医を目指し、２度目の大学生活を送る力となった。
○…今は人の輪のなかにいる。自身が運営する病院のほか、地域イベントの主催者グループに名を連ねるようにも。不器用だったからこそ知る「つながり」を深めるコツ。女性経営者の集いを主宰し、「私の経験を伝えていきたい。獣医の世界をより良くできればという思いもあります」。多忙のなかでも大切にするテニスや太極拳など趣味の時間。充実した毎日が楽しくて仕方がない。
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