多摩市内でも、2015年に国連のサミットで採択された「SDGs」の理念に賛同し、行動を始めている企業や学校、団体が見られるようになってきた。市はSDGsの理念を浸透させることを地方創生につなげていきたいという。
SDGsとは、環境や貧困、人権など世界が直面する問題を2030年までに解決するため、2015年に国連のサミットで定められた17の目標で構成される理念。Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)から4つの文字がとられ、最近は街ぐるみでこの理念を取り入れ、環境整備やジェンダー問題の解決につなげようとする自治体や取り組みを広く周知する企業が増えている。
多摩市
そんななか、市内でも「SDGs」という声が聞かれ始めている。市はSDGsの理念を地方創生につなげていきたい考えをもつ。環境や経済、社会に関する地域の課題や資源を市民が可視化・共有できるようにし、より「共助の文化」を生み出すことで少子高齢化などの課題に対応していきたいとする。先月には内閣府がSDGsを進める都市として認定する「未来都市」事業に申し込み。今回は、落選となったものの、「今後も取り組みを進めていきたい」と担当者は意気込む。
京王電鉄も
一方、大手を中心に市内企業もSDGsに乗り出し始めている。
関戸に本社のある京王電鉄は16年から、SDGsの理念を意識するように。電車の省エネ化や、自然災害に対応するため、地震計などを設置し沿線を24時間体制で監視することのできる装置の導入などを進めてきた。その他数多くの事業をも理念と照らし合わせてみると、「これまで行っていた取り組みがSDGsにつながっていたと実感することになった」と同社広報部の吉田忠司さん。そのことは自社社員の仕事に対するモチベーションアップにもつながったと話す。
また今年3月には、全社員を対象にメンタルヘルス対策などを進めてきたことが評価され、経済産業省らが従業員らの健康管理を積極的に進める優良企業におくる「健康経営優良法人」に認定された。この取り組みは17の目標のうち、「3 すべての人に 健康と福祉を」「8 働きがいも 経済成長も」に該当し、吉田さんは「今後は多摩市と組んで街全体にSDGsの理念を伝えていく役割も担えたら」としている。
長い目で「得」
多摩の地元企業も積極的だ。土木や造園事業に取り組む、落合の多摩ニュータウンサービスは昨年、市内公園の管理業務での騒音を抑えようと、草刈り機をガソリンから電気で使用できるものに変え、会社事務所の屋上に太陽パネルを設置し、社内で使用する電気の一部を自家発電するようにするなど、この1年間で開発目標の1つ、「7 エネルギーをみんなにそしてクリーンに」を実践。「公園の管理業務では、コロナの影響で増えた在宅中の人たちに迷惑がかからないようにと考えた。SDGsの理念を意識し始めた当初、社員は戸惑っていたが、今ではみんな積極的に取り組むようになった。意識が高まっています」と千田拓雄社長。
その一方で、SDGs対策を講じることで費用の負担が大きかったというが、「長い目で見れば、得と考えています」と千田社長は笑顔を見せている。
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