初期入居から50年を迎えた多摩ニュータウンの再生への取り組みが進んでいる。団地管理にあたるUR都市機構(以下UR)は多摩市などと組み、ニュータウンのコンパクトシティ化を目指している。
多摩ニュータウンは多摩市のほか、八王子や町田市などにもまたがるおよそ3千ヘクタールに及ぶ団地群で、再生への取り組みが進むのが諏訪・永山などの初期入居から50年を経た地区。
同じニュータウンと呼ばれるエリアでも、開発から30年程度の八王子・南大沢地区などと比べ、入居者の高齢化や建物の老朽が目立つためで、URは2013年ごろから東京都や市を中心に民間企業などと再生について検討を重ねてきた。
イメージ払拭狙う
URによる再生への取り組みは始まっている。民間企業と組んで部屋をリノベーションし、団地での「新しい暮らし」を提案してきたほか、市などと共に団地周辺でイベントを開催。みどりが多い点などニュータウンの魅力を集まった子育て世帯にPRし、団地住民の若返りを狙う。
また、昨年には諏訪団地の再生事業を本格的にスタートさせ、住民たちと今後の住み替えについての相談を始めた。
担当するURの佐藤正之課長は「高齢化などマイナスのイメージが先行しがちだが、ニュータウンでは最近、団地内の商店街に賑やかな駄菓子屋ができるなど雰囲気が変わりつつある。新たな魅力を伝えていきたい」と意気込む。
脱ベッドタウン
一方で、力を入れるのがニュータウンのコンパクトシティ化だ。これまでベッドタウンと呼ばれてきたニュータウンだが、団地を1つの街として、飲食店や小売店などだけでなく、仕事場やコミュニティースペースを団地周辺に設けるなどして、住民らがその街のなかで「衣食住」を果たせるようにしていく考えをもっている。
「住民の暮らしやすさを高めると共に、新しい魅力にしていきたいと思う」と佐藤課長。今年9月には、市と再生への取り組みを進めていくことへの連携協定を締結し、「ニュータウン50周年を契機として改めて。より力を合わせていく契機になればと思う」と話す。
「利便性の維持を」
ニュータウンを調査・研究してきた「多摩ニュータウン学会」の理事で明星大学(日野市)の西浦定継教授はこの「小さな街」づくりについて「必要なことだと思う。現在の利便性を維持するためにも人口をある程度固めて、規模の経済、範囲の経済が機能するようにしておくべき」と話している。
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