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公開日:2022.09.22

貝取小亀さん
「思い出」込めた絵本に評価
実話もとに初出版

  • 著作を手にする小亀さん(右)と恵子さん

  • 最優秀賞を受賞した「じーさんとぴーぽっぽ」

 貝取在住の小亀沢さんが初出版した絵本が注目を集めている。東京都内の出版社が主催する絵本に関するコンクールで最優秀賞を受賞した作品で、市内書店で取り上げられるなど、支持を集めつつある。



 作品はおじいさんと暮らす文鳥の視点で描かれた物語「じーさんとぴーぽっぽ」。おじいさんが入院し、亡くなるまでの間、預けられたその娘の家で、それぞれに与えられた「生きる時間」について主人公の文鳥が考えを巡らしていくストーリー。1月に最優秀賞を受賞し、7月中旬に発売されると一時期、ネット通販の人気ランキングで順位をあげるなど、評判となった。



 落合にある大型書店、丸善多摩センター店では発売当初から地元作家の作品として特設コーナーを開設しPR。「順調に売り上げが伸びています」と中西慶太店長。一方の小亀さんは「鳥好きの方から、SNSを通じた問い合わせもあります。これまであまり鳥が登場する絵本が少なかったようで」と笑う。



昨年から



 長く、グラフィックデザインや広告の企画制作に関わる仕事に就いてきた小亀さんが絵本制作に取りかかったのは昨年。20年以上勤務した会社を定年を前に退職し、個として新たなチャレンジの場を求めていた時だった。



 妻、恵子さんの実父が入院し、自宅へとやってきた文鳥。そして、父が亡くなり、執り行われた葬儀の翌日、後を追うように妻の手のひらで硬くなってしまった文鳥の姿をみて、「お父さんを待ってくれていたのかなと。共に与えられた生涯を全うしてくれた。この出来事を残したいと思ったのが絵本づくりを始めるきっかけでした」



 そして始めた絵本制作。元々、イラストレーターを目指すほど、絵を描くことを得意としていた小亀さん。絵本を2週間で描き上げると当初は「記念品」という考えだったものの、カラー出力して恵子さんとみてみると、「結構、良いよね」とふたりで笑顔をみせあうことに。出版社のコンクールに出品してみることにしたのだという。



 小亀さんは「他のコンクールに2度出品し駄目だったのですが、修正を重ねたところ、今回の賞を頂けることになった。絵本発売後は恵子がSNSでPRしてくれ、人気が高まってくれました」と振り返る。



「次回作を」



 既に小亀さんは次回作の準備を始めている。自身を「まだ2カ月の絵本作家」と語りつつ、今作の続編を含め、2作目のテーマについて模索しているところという。一方で、会社員時代から熱望していた地球温暖化対策につながる企画の取り組みにも着手し始め、小亀さんは「個として何ができるのか。絵本を通じてそのための気づきを発信できるかもしれないとも考えています」と話している。



 「じーさんとぴーぽっぽ」はみらいパブリッシング発行。税込1540円。多摩市内の書店などで販売している。

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