閉館した「喰の道場」を10年間支えた 森 節子さん 中央在住 43歳
”道場”から”地域”の顔へ
○…閉館後の片づけ作業で店内はごった返しの中、奥の部屋に通してもらった。テーブルの上にあった酒瓶を動かし、布巾で拭き、「本当にヤダわぁ。じゃあ、どうぞ」と照れながら取材を受けてくれたのが「喰の道場」を開館当初から支えた人物。常連をはじめとした利用者から覚えられ、”看板娘”として同店には欠かせない顔となっていた。「多くの人とのつながりができた。人生の財産になりました」
○…友人のふとした紹介で履歴書も持たずに面接を受け「いつから来れる?」という言葉にあおられるがまま入社したのが同店を運営する「(株)これでもかっ」。経理としての事務が最初の仕事だったが、10年近く社会人生活から離れていて複合機の使い方が分からなかったり、書類の区別もつかなかったりとドタバタの新生活が始まった。裏方仕事も3年も経つと客席も任され、道場の中心に立場が変わっていった。人前に出るのが苦手だったが、今では接客が板に付いている。「飲食と営業は絶対やらないと思っていたのに、まちづくりを考える経営者陣と現場で頑張っている道場の人たちと触れ合ううちに心に火がついてしまいました」と微笑む。
○…「どこ中学校だっけ?」など、しばしば地元トークに誘われる。実は仙台育ちで、海老名に来たのは結婚してから。「ここでの仕事が長いから皆さんに勘違いされますね。働く前はおしぼり通りに足を踏み入れたこともなかったぐらいなんです」と頬を緩ませる。
○…「ちょい呑み」など、多くの地域活性にも尽力。その人脈力もあり、閉館前最後の1週間は絶え間なく人が訪れ大盛況で幕を閉じた。その中には他の人には内緒で家族も訪れた。「夫からメールがきていて『沢山の人が来ていて感動したよ』とメールが届いていたんです」と幸せそうな口調で話す。今後については「完全燃焼したので、ゆっくりしたい」と本音を漏らしていた。
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