「海老名市遺族会」の会長を10年にわたり務めている 大木 功さん 国分南在住 72歳
平和への願い、繋ぐ
○…第二次世界大戦の終結から今年で70年。長年の歳月を経て、海老名でも8月8日に「戦没者追悼式」が行われ、約300人が祈りを捧げた。「多くの人に参加してもらえて良かった。これをきっかけに、少しでも戦争のことを意識してもらえたら」。会の一大行事である追悼式を終え、ほっとした表情で語る。
○…戦時中に生まれ、陸軍だった父親は自身が3歳の頃に中国で命を落とした。「父の顔は覚えていない。遺骨さえ残っていませんから」。幼いころは、父親がいないことで惨めな思いもしてきた。母親が悲しむから決して口にはしなかったというが、胸の奥から溢れる寂しさと「どうして戦争なんて起きたんだ」という思いが消えることはなかった。「二度とこんな経験はして欲しくない―」。強い願いから、30歳で海老名市遺族会に加入し、62歳のときから会長を務めている。現在の戦没者追悼式は、語り部による戦争体験講話や、地元学生による合唱などを含めた「3部制」となっているが、それも自身の発案によるもの。「失敗しても良いからやってみる。そこから必ず得るものがありますから」
○…前向きな性格は周囲の信頼感を集め、遺族会だけでなく、地元の神社の総代や、各種サークルなど8つの団体で代表を務めている。アクティブに過ごす日々の息抜きは野球観戦。20代の頃から巨人一筋と断言する。「いつもテレビを独占して家族に不満を言われますけど、これだけはやめられませんね」とニッコリ。
○…終戦から70年が経った今、喫緊の課題は遺族の高齢化だという。「参加者が減ったからといって、戦争のことを忘れてはいけないし、会を途絶えさせるわけにはいきませんから」。自身が会長のうちに後継者を見つけて育成していきたいと意気込む。「体が動くうちはやれることを全部やりたい。ボケる暇もないね」爽やかな表情をみせてくれた。
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