海老名市東柏ケ谷で9月24日、スーパーの買い物客が運転する乗用車が暴走して幹線道路を横断し、向かい側の工場に突っ込む物損事故が起こった。運転手は座間市内で一人暮らしをする94歳の高齢者だった。
午後2時10分ごろ、厚木街道を走行中だった本紙記者は右後方からの爆発音のような衝撃で車を急停車させた。危うく難を逃れた歩行者が「なかに突っ込んだ」と、シャッターを指さした。
近くにいた警備員がシャッターの脇をこじ開け、その隙間から記者が中へ入ると、運転席で呆然とする、おばあちゃんがいた。車から液体が漏れ出ていたため、おばあちゃんを抱えて歩道に避難させ、消防と警察の到着を待った。
事故を目撃した関係者は異口同音に「よく被害者が出なかった」と安どしていた。病院に搬送された94歳のおばあちゃんは、肋骨と顔面、首を骨折したが命に別状はなかった。
人を巻き込むことはなく物損事故として処理されたため、人身事故のような捜査は行われず全容は解明されていないが、現場の状況から、スーパーの屋上駐車場から下ってきた運転手が出口ゲート手前でブレーキとアクセルを踏み間違えたとみられる。
そのまま道路標識や植え込みなどをなぎ倒し幹線道路の厚木街道を横断。柔らかなシャッターを巻き上げて減速し、工場内で止まった。事故後、おばあちゃんは「いつもはこんなことはなかった」と話していたが「いつも」という言葉に衝撃を受けた。
社会の課題
海老名警察署によると、今年1月から8月までに管内で発生した車両交通事故(人身事故)167件のうち、65歳以上の高齢者の事故は全体の18%。50代、40代との差はなく、交差点での衝突事故が最も多い。
一方で、駐車場付近で起きる高齢運転者の物損事故は相当数あるという。いずれもアクセルとブレーキの踏み違いという。物損事故のため統計に現れず警察にも通報されない敷地内での物損も相当数あるとみられる。
海老名署管内で2019年中に運転免許を自主返納した人は731人。うち82%が70歳以上で70歳から74歳にかけて増加する。19年の返納者数は18年の416人から急増したが、その背景には19年4月に池袋で87歳の元官僚が起こした母子死亡事故があるとみられる。
それまで毎月20〜40人台だった返納者が同年5月以降は50〜80人台に増えた。新型コロナの影響で今年4月は21人、8月では47人だった。
こうした事故や高齢者ドライバーを取り巻く環境を報じることで、生活支援の充実や運転時の認知機能、動作確認の低下に関心が向けばと思う。
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