海老名・座間・綾瀬 人物風土記
公開日:2024.08.16
蓼川の灯ろう流しを主催・上土棚地区青少年健全育成会の会長を務める
西谷 美香さん
綾瀬市上土棚中在住 58歳
友の支えで、立っている
○…夜の蓼川に灯ろうが涼やかに流れる光景は、上土棚地区の夏の風物詩。会場設営などを青少年健全育成会の仲間と進め、今年は100人を超える子どもたちが参加した。「地域の横のつながりも増えたのでは。災害時にも地域の絆が大切だから」。この成功にはそんな側面もあった。
○…5年前に会長を受け継ぎ、その後はコロナ禍に悩まされた。感染者数の動向をにらみ、汗して準備したものを仲間の健康を第一に中止した。悩んでいると「抱えるな」「支えるから」と寄り添う人や、無言で助けてくれる人がいる。頑張る人、まっすぐな人、褒める人。エピソードは山ほどありお互いが言いたい事を面と向かって伝え合える間柄。
○…東京都杉並区出身。小学生の頃は授業から給食、人前で話すことも苦手で「色々な事ができない子でした」。唯一得意だったのはチラシの裏面に絵を描くこと。その後絵画塾に入り、一枚ずつ作品を仕上げるうちに自信がついた。美大進学後は工業デザインを学び、今は自宅で絵画や工作の教室を開いている。自身には思いつかない表現に出会えるのが嬉しく、教え子を「尊敬すべき子どもたち」と呼ぶ。
○…静かな綾瀬も結婚後に転居した頃は米軍機の轟音が響き、会話もかき消される街だった。そこに暮らす人々は不思議と温かく、買い物に外出しても誰かが声をかけてくれた。未就園児の会で絆がうまれ「うちの子以外の子も、自分たちの子」に。家での子育ては「本気と本気のぶつかり合いでした」と苦笑する。2人の子が進学・独立し、ひと段落した今は梅干づくりが楽しい。義母から受け継いだそうで「どうぞ一粒」。作り手の穏やかさからは想像できない、涙が出るほどの個性的な味だった。
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