綾瀬で開催されたオペラ『愛の妙薬』で公演監督を務めた 石川 誠二さん 座間市南栗原在住 65歳
感動への扉ひらく
○…稽古場では出演者たちに和やかな語り口で指示を出し、シーンを形にしていく。本番前も大ホールの隅々まで知り尽くしているように歩き回り、作品を磨き続けた。譜面には、例えば休符の長さひとつにしても作り手の思いがある。稽古で出演者に伝え、意見に耳を傾ける。「それぞれが持ち味を発揮できるように」と願いながら。
○…大阪府出身で、たまたま自宅にピアノがあり、様々なジャンルの音楽を聴くことが好きだった。青春時代は学園祭などでの弾き語りや作曲の経験も。高校2年の時に「プロになろう」と音大受験を決め、声楽の道へ進んだ。それを聞いた父は「男子が音楽をやるのは…」と語っていたが、デビュー作のオペラをみた後は応援してくれるようになった。
○…20代で文化庁国内研修員となり、イタリアにも留学。様々なコンサートに出演し、ローマやバチカンでテノールソロを披露したこともある。その後は演奏活動のほか昭和音楽大学で教え始め、企画や監督の仕事も増えた。西武線沿いから大学キャンパス近くの海老名に転居。飼い始めた猫と暮らせる物件を探してさらに座間へと移り、「今はすっかり県央の住人です」。和食好きで「家食べ・家飲み」がささやかな楽しみ。
○…「綾瀬は農村風景が残っているのがいい。 もっと良いのが文化会館にオーケストラピットがあること」。10年ほど前に、開館から使われていないピットの存在を知った。「もったいない、活用しよう」と仲間とオペラを上演するようになった。今回は分かりやすいハッピーエンドの物語で、イタリア語の歌に電光字幕もあった。「もっとオペラの敷居を低くしたい」。創るだけではない、伝え教えるプロの横顔が垣間見えた。
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