海老名市は市内小学校5校の屋上に気象観測装置を設置して、6月から運用を始めた。各所の気温や雨量などをリアルタイムで把握して、早期の熱中症対策などに役立てる。
この装置は宇宙航空研究開発機構(JAXA)の探査機「SLIM」の月面着陸にも参加した観測装置メーカー、明星電気(本社・群馬県伊勢崎市)の製品「ポテカ」で、気温や気圧、湿度、風速、雨量などがリアルタイムで観測できる。
海老名市では昨年5月、市内の小学校で児童39人が熱中症の疑いで救急搬送された。市はこれを教訓に従来の熱中症対策を強化。常時観測でより細かい情報が得られる同社の製品に着目し、設置への検討を進めた。
装置の設置場所には、市内に13ある小学校のうち相模川左岸の有鹿小(標高22m)や、丘の上にある上星小(標高63m)など立地条件が異なる5校の屋上を選んだ。
災害時の活用も
対策を担う同市危機管理課では、「この装置なら雨量でも、その強度や降り始めからの連続雨量などもわかる。スマートフォンで閲覧できるので、屋外活動の是非だけでなく市民による外出前のチェックなど応用もできる」と話す。
同市には気象予報士の資格を持つ職員もいるため、台風などの際は市独自の視点で局地的な気象予報もできる。今後は装置で得られる情報を避難指示の判断など災害対策に活用したい考えだ。
5台分の10カ月間の使用料は165万円で、財源の半分ほどは国の交付金を活用する。
現代版の百葉箱ともいえるこの装置は、これまで全国の行政や企業などで1300台以上設置されてきた。県内では政令市の川崎市内や、相模原市内のほか、大井町内にもある。一方で座間市は2018年から運用していたが「スマートフォンで気象情報や国・県の災害情報が取得できる環境がある」とし、5年間で運用を中止している。
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