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海老名・座間・綾瀬 人物風土記

公開日:2025.08.01

復活した綾瀬の特産品「高座スイカ」の栽培に取り組む
石井 堅さん
綾瀬市吉岡在住 55歳

父から引継ぎ、後輩へ

 ○…戦後間もない頃の綾瀬の特産品として市内外で愛されたが、時代の変化により綾瀬の地から姿を消した「高座スイカ」。甘みやシャリシャリ感の強さと縞の少ない見た目が特徴。復活のために共に尽力した父の遺志を受け継ぐ。「高座スイカを見た人が『初めて見た』とか『懐かしい』と話してくれるから面白い」とほほ笑む。

 ○…綾瀬市吉岡の生まれ。自然豊かな環境で、幼少期には近所の山林で虫を捕まえ、小川で釣りをして遊んだ。実家は江戸中期から綾瀬の地で農業を営む家庭で、子どもの頃から農作業を手伝い、収穫後には父と市場に行っていた。「帰り道にお菓子を買ってくれたのが嬉しかった」と懐かしむ。高校卒業後は「家業を継ごう」と海老名の県立農業大学校(現農業アカデミー)に進学。20歳で農家の道へ進んだ。

 ○…「綾瀬では露地でも年中栽培できる」。春にはレタス、夏にはスイカ、秋には米、冬にはブロッコリーと、品目を変えて栽培と収穫を繰り返す。「休みは少ないけど、やった分だけ成果が出る」とやりがいを話す。栽培でのモットーは「見た目より味」。作物がまっすぐに育たなくても支えは最低限に、自然に近い方法で栽培する。息抜きは釣り。時間を見つけては車を走らせて東京湾や相模湾に向かい、アジやタイを狙う。

 ○…今後取り組むのは後輩への継承。綾瀬野菜の底上げを図り、商品価値の向上を目指す。現在は5軒の農家でのみ栽培する高座スイカも、新たな生産者が増えることを期待している。「知識も技術も出し惜しみはしない。長くやってきたからこそできることがあるはず」と将来を見据える。「地元の人に食べてもらいたい」と、2年前からは直売所も立ち上げた。挑戦はまだまだ続く。

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